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レコードのハイレゾ化のススメ

レコードのハイレゾ録音へのヒント(Tips)

レコードのハイレゾ録音のヒントをご紹介します。これまでの経験から、必要なポイントやコツを書き留めましたのでご参照ください。 B級オーディオとしての視点からお届けします。

「ハイレゾ録音へのヒント(Tips)」は3部構成になっています。

 

【第1部】準備編

 

 

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LPレコードをハイレゾ化する意味

LPレコードからCDやSACDに置き替わり、更にネットでミュージックを簡単に楽しむことも出来る時代になりました。 わざわざLPレコードをハイレゾ化する必要は無いと言われるかも知れません。 しかし、昔のLPレコードを聴くと何故か、特にストリングスの音が自然に聞こえ驚かされます。

何故?レコードサウンドが好ましく聴こえるか? ここは推論になりますが、レコードがCDよりも好ましく聴こえる要因を述べてみます。

  1. 高域の聴きやすさ:
    テストレコードで1khz正弦波を再生すると、6khzまで整数倍のハーモニクスが観測されます。 このハーモニクスは、カートリッジ特有の歪でカートリッジの音色を与えるものと考えられ、これが高域を聴きやすくさせる?(引用先「アナログ・レコードのここがダメ」)
  2. 音の広がり:
    カートリッジのクロストークに逆相成分が含まれているために音の広がりを感じさせる?(引用先「アナログ・レコードのここがダメ」)
  3. CDの弱点から生じる要因:
    CDフォーマットの22.05khzで制限されるサンプリング周波数とビット深度(16bit)に伴う量子化ノイズの発生(引用先:「CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか?」)

LPレコードの音質を損なわずに録音・アーカイブするには、USB-ADコンバータを通してCDフォーマットより上位のハイレゾフォーマットでデジタル録音(PCM:Pulse Code Modulation)することで簡単に実現できます。 更に、デジタル録音ならではの、不要なプチノイズの抑制や適正に音量をアジャストするノーマライズ等、レコーディングソフトで簡単に編集するメリットがあります。

 

オペレータ
オペレータ
では、何故レコードを録音する時にハイレゾ(フォーマット)が有用か?を述べてみますね。

ビット深度が16bitのCD(フォーマット)では録音レベルの尤度が少なく往々にして過大入力になり音がクリップしてしまうのでレベル調整が非常にクリティカルです。 ハイレゾの24bitであれば、8bit分(256倍)の尤度が得られるので、予め録音レベルを絞って録音し、録音ソフトで最適に音量を上げるノーマライズ(正規化)を行えば音がクリップすることなく初心者でも容易に録音できます。

更に、下で述べている様に、CDに比べてハイレゾ(24bit)は歪率の点でも圧倒的に有利で、ハイレゾ(24bit)であればCD音質を超えるAAC変換も期待できます。

以上から、CDに比べハイレゾはファイルサイズが大きくなるデメリットを差し引いても、レコードを録音するならハイレゾがオススメです。
オペレータ
オペレータ

 

CDとハイレゾの歪率比較

CDフォーマット(16bit)での音圧レベルと歪率(THD+N)の関係を測定してみたのが下のグラフです。(上のオレンジラインがCD・16bitを示し、下のブルーラインがハイレゾ・24bitを示す)この歪率グラフから、音圧レベル(≒録音レベル)が下がれば下がるほど歪率が悪化することを示し、CD16bitよりもハイレゾ・24bitの方が量子化ノイズが少ないので3桁ほど歪率にとって有利であることを示しています。詳しくはここの記事をご覧ください。

このことから、人の耳に感知出来るか否かは別にして、如何なる音圧レベルであっても普通のオーディオアンプ並みの歪率レベル(一般的に0.1%以下)で録音したいところです。普通のオーディオアンプ並みの歪率レベルを達成するにはCD16bitでは不十分でハイレゾ・24bitが必須となる訳です。

 

ハイレゾレコーディングへの準備

 

準備
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レコードプレーヤを選ぶなら

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レコードプレーヤは大きく分けて、レコード(LPレコードでは33 1/3 rpm)を回転させるターンテーブルとレコードの音溝をトレースして電気信号に変換させるトーンアームに取り付けられたカートリッジで構成されています。

夫々の構成要素を示します。

  • ターンテーブルは、最低限PLL(フェーズドロックループによる回転制御)対応がよいと思います。 ターンテーブルの回転数偏差については、「テストレコード(AD-1)を利用してターンテーブルの回転数偏差をチェックする」を参照してみてください。 プレーヤの回転数偏差は、1khzの標準音に対して、3hzの誤差が聴きわけのできる限界から、±0.3%以下に抑えることが一般的の様です。
  • カートリッジは、出来るだけ良いものを使うことが肝要です。 やはり、MM(ムービング・マグネット)よりMC(ムービング・コイル)の方が良いと思います。 但し、MCは、出力電圧が低く、ヘッドアンプや昇圧トランスが必要になり、コスパの点から、質の良いMMを使っても良いと思います。 過去に、以前1万円台のオルトフォンのMMカートリッジ(2M Red)を使ったところ、ストリングスの音が、CD音質以下になり、お払い箱にしました。

  • カートリッジとヘッドシェルの取り付け:カートリッジはスタイラスのアジマス角度でクロストークが変わってしまいます。 取り付けは以下を参照ください。
  • トーンアームは、多少長めの方がトラキングに対して有利です。 ヘッドシェルが交換でき、インサイドフォースキャンセル機能が付いたものが良いです。また、レコード最内周に行った時に自動でトーンアームが上がるリターン機能が付いたものですと、録音ソフト(例えば、VinylStudio)によっては自動で録音がストップし便利です。
  • レコードプレーヤ全般の評価については、後述の「テストレコード(AD-1)を使う」 を参照ください。
注意:LPレコードを簡単にCD化できるターンテーブル一体型の製品がありますが、あまりススメしません。  音質面や編集対応等で、後から後悔することになると思います。

 

ステレオ再生の予備知識

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準備
2
フォノアンプとA/Dコンバータの選択

  • 最近のプリメインアンプは、フォノアンプが無いものが多く、フォノイコライザアンプ付きのA/Dコンバータをお勧めします。  例えば<フルテック>のGT40αがあります。 但し、GT40αは、MCカートリッジ対応とうたってはいますが、低出力電圧のMC(Ex.オルトフォンのMC20は0.07mV)では、ノイズが多くなり使い物になりませんでしたので別途、MC用ヘッドアンプか昇圧トランスが必要になります。
  • A/Dコンバータは、サンプリング周波数192Khzまたは96khz、ビット深度24Bit以上 が対応できるA/Dコンバータ(PCM)をオススメします。 DSDレコーディングはどうか?と言うと、例えばDSD64(2.8Mhz)でレコードをハイレゾ録音すると、下のスペクトルで示す様にノイズシェービングの残滓(高域異常ノイズ)が残ります。

    この高域異常ノイズは、オーディオアンプ周波数帯域内にあり、不要な電力も消費し、混変調歪も発生する原因にもなり得ると思われ、最悪ツイータの破損につながるかもしれません。 PCMレコーディングであれば、高域異常ノイズの発生はありません。(詳細は「レコードをハイレゾ化するならDSDかPCMか?」ブログ記事を参照してください。) また、当然ながらPCMレコーディングはデジタルですので、数値演算処理により音質劣化無無く、例えば増幅等の編集が容易に行えます。

USB A/Dコンバータ

我が家のB級オーディオは、FURUTECHのGT40α(AD変換)を使用しています。 残念ながら、GT40αはディスコンになった様で、代替えとして、DSDにも対応できる​​K​​ORG DS-DAC-10Rがあります。

​​K​​ORG AD/DA変換機
 ”DS-DAC-10R” をAmazonで確認

 

準備
3
パソコンと録音ソフトの選択

  • パソコンは、WindowsでもMACでもOKです。
  • お勧め録音ソフトは、VinylStudioです。 その他、フリーソフトのAudacity等があります。
  • VinylStudioは、英文ですが、レコード録音に特化していて使い勝手が良く、プチノイズ抑制、楽曲分割が容易です。
    ダウンローサイト:http://www.alpinesoft.co.uk/VinylStudio/download.aspx

VinylStudio

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準備
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ジャケットの写真撮影用で、スマホを準備しておきます。

LPレコードのジャケットをスマホアプリのiScannerを使ってもOKですが、撮影時の照明の映り込み(グレア)を除去できる、無料のGoogleアプリ「フォトスキャン」がオススメです。 レコードジャケットのトリミング微調整を行った後、VinylStudioにジャケット画像を挿入します。 詳しくは以下の投稿ページをご参照ください。

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準備
5
レコード再生の弱点を押えておきましょう。

LPレコードをハイレゾ録音する上でレコード再生の弱点を捉えておくことは予備知識として有用と思います。 以下の記事をご参照ください。

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準備
6
ハイレゾ録音の有用性を押えておきましょう。

LPレコードを録音する上でCDフォーマットで録音するよりハイレゾで録音することの意味を知っておきましょう。 以下の記事をご参照ください。(2020/2/20追記)

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テストレコード(AD-1)を使う

出来れば、テストレコード(AD-1)を準備しておくと、ターンテーブルの回転数偏差のチェックやプレーヤ全体の低域共振周波数を測定して低域カット(ランブルフィルタ)するか否かを判断すること等ができます。

テストレコード(AD-1)は、日本オーディオ協会で販売され、¥3,850(税込)です。(2023/6/1現在) 購入するには、「日本オーディオ協会」に出向いて直接購入するか、送料 ¥990(税込)含めて購入します。 別手としては、日本オーディオ協会が主催している「音展」等のオーディオショーに行った際に購入することもできます。

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【第2部】 ハイレゾ録音の実践編へ

第2部のレコードのハイレゾ録音の実戦篇へ続きます。

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