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CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか? (推定編)

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CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか? この原因は何処から来るのか? 先ず、CDフォーマットについて整理した後、 考察を進めて行きたいと思います。

ご存知の通り、CDフォーマットのデジタル記録は、サンプリング周波数が44.1Khzとビット深度が16ビットの2つの要素で成り立っています。

これは、1980年にフィリップスとソニーによって規格化されました。 当然ながら、サンプリング周波数は、より高く、ビット深度は、より深くすれば、高音質(原音に近づく)になりますがAD、DA変換処理能力、メモリ(メディア)容量など技術とコストの制約の中で、当時としては、最先端を行く規格が採択されたものと推察します。

以下、CDフォーマットの問題点(弱点)について、推定を含めて述べていきたいと思います。

 

 

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 サンプリング周波数(44.1Khz)とサンプリングポイント数の関係

サンプリング定理から、再現できる上限の周波数は、サンプリング周波数44.1Khzの1/2の(22.1Khz=fc)以下であれば、元の信号は正しく復元されると言われています。

これを達成するには、fc以上の信号は、エイリアシング(折り返し雑音=偽信号)防止含め、ハイカットする必要があります。 具体的には、A/D変換する時に、アナログ信号のfc以上をハイカットして、デジタル化(CD化)し、CDプレーヤー(D/A変換)で再生する時も、fc以上をハイカットして、アナログ再生しています。

以上を、私なりに簡略化して述べると、例えば、20Khzの正弦波では、一周期に2点の測定ポイントしか無く、その波形は 高調波成分を含んだ三角波・波形になります。 しかし、fc=22.1Khz以上でハイカットすれば、fc以上の高調波成分(=歪成分)が無くなり、20Khzの正弦波に復元されると言うものです。

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グラフは、周波数とサンプリンポイント数の関係を示します。

 

ビット深度(16bit)と振幅レベル(分解能)の関係

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Dレンジとはダイナミックレンジの略です。グラフに、ビット深度とDレンジの関係を示します。

0dB(音圧レベル最大)のとき16bitで、1/65536の分解能(振幅精度)を有します。

音圧レベルが下がり、例えば、-72dBの時は、4bitとなり1/16の振幅精度に悪化します。
つまり、録音時の音圧レベルが低い時(弱音時)は、分解能(精度)が低下し誤差(歪率)が増大てしまうことを示しています。

ポイント(2020/11/3追記)

CDフォーマット(16bit)での音のレベルの低下と歪率(THD+N)の関係を測定してみたのが下のグラフになります。(上のオレンジラインがCD・16bitを示し、下のブルーラインがハイレゾ・24bitを示します) グラフからCD・16bitでは、-60db以下になると歪率が1%以上になってしまいます。(一方ハイレゾ・24bitでは、0.01%) 

つまり、弱音になればなるほど量子化ノイズが増えて歪率が悪化することを示しています。 このため、CDでは量子化ノイズ をボヤかすため故意にノイズを重畳させるディザリング手法で聴感対策していますが、オーディオ的には、ちょっと戴けません。

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 CDフォーマットが不利になる問題点

以下の2つの問題点があると推察します。

  1. fc近傍は高調波成分はカットされますが、fcより若干下がった周波数(例えば5Khzでは8ポイント)では、fc近傍より測定ポイント数は増えるものの歪んだ正弦波であるので、fc迄の高調波成分が残ってしまうのでは無いかという点
  2. fc近傍の波形歪が悪化する周波数で且つ、ビット深度が低くなった時の復元性(歪)はどうなるか?という点

この記事を合わせてご覧ください

 

 マトメ:CDで再生されるストリングスの音の違和感について

実際のストリングスのスペクトルを下図に示します。これは、ベートーベン交響曲 第8番 第2楽章の一部をAudacityソフトで、周波数分析した時のスペクトルを表示させたものです。

交響曲8番第2楽章を選択した理由は、ストリングス要素が多く、音圧レベルも低いことから選びました。オリジナルソースは、LPレコードでカラヤン指揮ベルリン・フィル 1965年録音を192Khz,24bitでデジタル録音したものです。

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ストリングスの倍音成分は、多分2Khz以上と思われ、網掛け部分が正確に再現できるか?にかかっていると思われます。

そこで、ストリングススペクトルを、CDフォーマットのビット深度とサンプリング周波数に置き換えて見たのが下グラフです。 FFT解析条件  関数窓:hanning  サイズ :8192

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グラフから判ることは、ストリングスの倍音部分(網掛け)が、サンプリング数の低下と相まってビット深度(振幅精度)が低下し、高域成分の再現性が失われることになるので、オーケストラのストリングスに違和感を生じる要因の一つではないかと推察されます。

 

この問題は、CDフォーマットの本質的問題ですので、如何に エイリアシング・フィルタ等を完璧なものにしても改善せず、これを回避するには、ハイレゾ化への移行が必要と思われます。

 

 

参考・CDと比較してアナログレコードの音質が好ましいのは何故?

常々疑問に思っていたクラシックのストリングの音が「CD音質」と比較して「レコードの音質が好ましく聴こえるのは何故?」を自分なりに掘り下げて考察した記事です。(2024/2/16追記)

参考
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CDと比較してアナログレコードの音質が好ましいのは何故?(考察編)

レコードの音質が好ましく聴こえるのは何故なのか?ネットで調べても腑に落ちる合理的な説明が見当たりません。 当記事はCDに比べてレコードのダメな点が多々あるにも係わらず、CDと比較してレコードの音質が好 ...

 

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