CDフォーマットのここがダメ「ハイレゾと比較して」

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CDフォーマットのサンプリング周波数は44.1khzでビット深度は16bitです。 特にビット深度は録音レベルが低下するに伴い音質に問題が生じます。 CDの開発時点では先端技術で市場を席巻しましたが昨今のハイレゾから見て尤度の低い規格ではないかと思っています。 

聴感上問題になるかは別にして、録音信号レベルをパラメータにした1khz sin波ファイルを使った簡単な比較実験を通してデータに基づいたCDフォーマットとハイレゾとの音質比較を行ってみたいと思います。

以前投稿した、以下の記事も合わせてご参照ください。

参考
CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか? (推定編)

CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか? この原因は何処から来るのか? 先ず、CDフォーマットについて整理した後、 考察を進めて行きたいと思います。 ご存知の通り、CDフォーマットの ...

 

参考

ハイレゾの定義

JEITAのいうハイレゾ音源とは量子化ビット数(ビット深度)が16bitを超えるか又はサンプリング周波数が48khzを超える音源と定義しています。 

例えば、「44.1khzで24bit」や「96khzで16bit」ならハイレゾ音源になります。

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CDフォーマットにおけるビット深度と微小信号記録時の波形

ビット深度が16bitなら、測定できるポイントは、2の16乗ですので、フルスケールで65536の測定ポイントがあります。 (Dレンジで言うと96dbですね) 

例えば、入力信号が1khzの正弦波で10vp-pの信号を記録すると、65536の測定ポイントがあり1ポイント当たりの最小測定電圧は、153uvということになります。

では、1khzの正弦波で入力電圧が微小の306uvp-p(-90dbFS)を記録しますと1bit分(2値)の分解能しかとれず、その時の波形は、下のように正弦波と異なる信号劣化した階段状の波形になります。 これが後から述べる量子化誤差になります。 

16bit -90dbFS波形

 

一方、ビット深度24bitのハイレゾの場合、1khzの正弦波で入力電圧が微小の306uvp-p(-90dbFS)を記録すると9bit分(512値)の分解能がありますので、その時の波形は、下の様に、16bitとは違って綺麗な正弦波が再現されます。

24bit -90dbFS波形

 

bit深度とdbFSの関係

dbFSとは、フルスケール(FS)に対するレベル比を示します。

CDフォーマットの16bit場合

16bit2^16)値をフルスケールとして、n bit2^n )の値をデシベル換算すると、「dBFS20×log10 2^n/FS=20log2^n - 96」になります。

ハイレゾの24bitの場合

一方 ビット深度が24bit(ハイレゾ)の場合 dBFS20log2^n - 144になります。

※以上のように、ビット深度が16bit24bitを比較すると、その差は8bit24bitの方が256(48dbFS)倍の尤度があるということになりますね!

 

1khz sin波 CDフォーマット・テストファイル作成

テストファイル作成ポイント

種々の微小信号用テストファイルをAudacityで作成するのは面倒ですので、WindowsソフトのWaveGeneを使えば一発で録音信号レベル「-☓☓dbFS」ファイルを作成できます。

以下のテストファイルは全てWaveGeneで作成しています。

WaveGeneの設定画面( 1khz sin -90dbFSを設定している)

 

+ Audacityでテストファイルを作成する場合(参考) ここをクリック

録音信号レベル-90dbFSのCDフォーマット・テストファイル作成例

ポイント

Audacityでの作成手順は以下です。

  1. Project Rate(hz)を44100に設定
  2. 設定>品質>高品質変換のディザリングを無しにする。 
    (ディザリングは量子化ノイズをボヤかすため故意にノイズを重畳させる手法です。 なお、Audacityのディザリングのデフォルトはシェイブドです。)
  3. ジェネレーター>トーン>sin波>周波数を1000hz、振幅を1にする。
  4. エフェクト>増幅>-50dbで実行
  5. エフェクト>増幅>-40dbで実行 これでトータル-90dbFSになる。
  6. Export>オーディオの書き出し>Wav・16bit を実行すると”1khz-90dbFS 16bit 44.1khz”のCDフォーマットファイルが書き出されます。

==波形を確認する==
該ファイルをAudacityに取り込み、正規化(-3dbに増幅)を行えば-90dbFSの拡大波形を見ることできます。

 

1khz sin波 -☓☓dbFS信号のCD vs ハイレゾ波形比較

レベルを変えて作成した16bit時と24bit時の1khz信号テストファイルをAudacityに取り込み正規化(増幅)した後の波形比較を行いました。 24bitの場合は、-96dbFSにおいてもビット深度に余裕があり階段状の波形になることはありません。

1khz sin波16bit(fs=44.1khz)波形24bit(fs=44.1khz)波形
-48dbFS
-60dbFS
-78dbFS
-90dbFS

16bit WAV file DL   

24bit WAV file DL   

 

CDフォーマットにおける量子化ノイズ

量子化ノイズとは

本来の正弦波から乖離した量が量子化ノイズ(=誤差=歪)ということになります。

Weblio辞書のによりますと、量子化ノイズ 【quantization noise】とは、
『アナログ信号をデジタル信号に変換(A/D変換)した後、アナログ信号に再変換(D/A変換)したとき、階段状の波形になるなど元の信号とはわずかに異なった波形になってしまう。 この差を量子化ノイズという。 量子化ノイズはA/D変換→D/A変換に際して原理的に避けられない信号劣化である。』と説明しています。

 

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では量子化ノイズの音を聴いてみます。

量子化ノイズのある劣化信号と純粋な信号を引き算すれば、量子化ノイズのみが抽出された信号になる筈です。

そこで、16bitの-90dbFS 1khz sin波のテストファイルと量子化ノイズ的に有利な24bitの-90dbFSのテストファイルをAudacityに取り込みます。 レベルが微小なので夫々の信号を予め正規化(増幅)させておきます。 次に24bitファイル信号を引き算するため、上下反転(位相を180°)させます。 16bit信号と反転させた24bit信号をミックスさせれば、量子化ノイズが抽出できます。

この手順で実験したのが以下になります。

16bit -90dbFSの量子化ノイズ

-90dbFSの量子化ノイズ波形

-90dbFS 量子化ノイズ音

16bit -60dbFSの量子化ノイズ

-60dbFSの量子化ノイズ波形

-60dbFS 量子化ノイズ音

-60dbFSですと、16bitでも量子化ノイズが小さいので当然ノイズ音は小さくなっています。

 

CDフォーマットの歪率(THD+N)を測定してみる

ここまで来ますと、量子化ノイズによる歪率がどの程度のものか、測定してみたくなりますね。

歪率を測定するために、WindowsソフトのWaveGeneの姉妹ソフトであるWaveSpectraを使用させて頂きました。

測定手順ポイント

測定手順は非常に簡単で、1khz sin波 -☓☓dbFSテストファイルをWaveSpectraにドラッグ&ドロップします。 再生ボタンを押して約2秒程(-☓☓dbFSファイルの長さは5秒なので半分位経過して安定する点)のところで、pauseボタンを押します。 

歪率測定窓にTHD(上段)とTHD+N(下段)が表示されます。 THD+Nとは、total harmonic distortion + Noiseの略で、全高調波歪にノイズを加えた基本波成分の比(%)です。

FFT条件)サイズは32768でHanning窓です。 

CDフォーマット(16bit)とハイレゾ(24bit)
歪率測定結果

注意ポイント

  • ハイレゾ(24bit)の方が3桁以上歪率が有利であることが分かります。

 

CDフォーマットでのサンプリング周波数の影響は?

1khzのsin波でしたが、サンプリング周波数に近寄る(1周期のサンプリングポイントが疎らになる)と量子化ノイズや歪率がどうなるのでしょうか? 5khzと10khzでのsin波で調べてみました。

-90dbFS 5khz sin波

(波形をなめらかにするため192khzでリサンプリングしています)

〜〜〜〜〜〜〜〜

歪率(THD+N)は38%でした。( 1khzの時は37%でしたので、1%悪化しています)

-90dbFS 10khz sin波

(波形をなめらかにするため192khzでリサンプリングしています)

〜〜〜〜〜〜〜〜

歪率(THD+N)は41%でした。( 1khzの時は37%でしたので4%悪化しています)

注意ポイント

サンプリング定理によれば、「サンプリング周波数の半分、つまりfc=22.05khz以上をフィルタリングすることで、エイリアシングの無い元の信号は正しく復元される」となっています。 fcに近づくとサンプル数がままばらになってきますので、例えば、微小信号時の5khzと10khz sin波の場合の波形がどうなるか興味のあるところでした。(10khz sinの場合サンプル数は1周期あたり4点しか測定できません。)

  • 量子化ノイズの波形は、1khzのときの-90dbFS波形が階段状でしたが、上の様にサンプリングが疎らになった影響で、似ても似つかない波形となっています。
  • 一方、歪率(THD+N)では、サンプリング数が疎らになるに従って歪率は悪化する傾向ですが、その差は軽微でした。 これはサンプリング原理ため高調波成分をカット(fc=22.05khz以上をハイカットしている)しているためと思います。

 

今回の実験の考察

CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか? (推定編)で使った、実際のベートーベン交響曲 第8番 第2楽章の一部のスペクトルから考察してみます。

網掛け部音圧レベルからCDフォーマットの歪率(THD+N %)に置き換えてみますと、2khz付近で-40dbですので歪率は0.2% 5khz付近で-60dbなので歪率は1.5% 10khz付近で-80dbなので歪率は10%以上になる筈です。 
このようにCDフォーマットで音が弱音(ピアニッシモ)になればなるほど歪率(量子化誤差)が悪化するという現象が生じます。 (当然ながらアナログレコードでは量子化誤差は皆無でこの点はアナログレコード優位です)
この歪率が聴感上で認識できるか否かは別にして、これをどうみるか? 例えば一般AMPの歪率からみれば相当悪くオーディオマニアなら敬遠する値いと言わざるを得ません。 また、量子化ノイズの波形は階段状で奇数次高調波成分が多く、このノイズは、人に不快感を与える鋭く粗い音になるのも気になる点です。

 

レコードをPCMで録音する場合は、フォルテでのクリップを避けるために録音レベルを相当に下げる必要があります。 そのため16itで録音すると自ずからビット深度が浅い状態で記録され量子化ノイズの影響を受けやすくなります。 つまり、16bitでは録音レベルの尤度が無いということです。

録音尤度を上げるには、少なくも24bit以上、つまりハイレゾで録音することが必須と思います。 CDフォーマットで出力したいなら、先ず24bitで録音した後、正規化し16bitに出力すれば量子化ノイズを極力避けられると思います。(多分現在のプロのCD制作においては、少なくも24bit以上のビット深度を有する機材を使用した録音ではないかと思います)

 

CD開発当時の音質に不評をかったのは、CDフォーマットが予想以上に録音尤度がないことから由来しているのでは無いか?つまり、細心の注意をはらってマスタリングを行わないと量子化ノイズによる音質劣化を招くことは想像に難くありませんね。 また、デジタル録音の初期にPCM録音と銘打ったレコードが出回りましたが、違和感を覚える音質だったこともこの点に由来しているかもしれません。

 

ハイレゾ化の意味は、再生よりも録音にメリットがある様に思いました。 その意味でもレコードのハイレゾ化は合理的な録音方法と思った次第です。

 

CDフォーマットのここがダメ「ハイレゾと比較して」(マトメ)

ポイント

  • 例えばクラシックのオーケストラのスペクトルを見ると、-80dbFSまで存在する可能性があり、CDフォーマットでは、量子化誤差から見る歪率が数%(THD+N)オーダーで含まれる可能性がある。 聴感上認識できるか否かは別にして、この歪率レベルはオーディオAMPの歪率レベルから見ても看過できないレベルではないか?
  • 量子化ノイズは階段波状であることから奇数次高調波成分が多く含まれるので聴感上に違和感をもたせる可能性がある。
  • 信号源の周波数が高くなる(fc=22.05khzに近づく)とサンプリング数(標本化数)が疎らになり波形は歪むが高調波成分がカットされ歪率にはあまり影響しない。(サンプリング定理)

 

今回の実験を通してCDのウィークポイントを述べてきましたが浅薄な素人の実験ゆえ、見落としがあるかもしれません。 お気づきの点があればご指摘頂ければと思います。

 

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