OTOTEN(音展)2022に行ってきました。(Lacquer Master Soundのトークアンド試聴会にフォーカス)

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音展は、新型コロナの影響で2019年を最後に今年2022年・3年ぶりの再開になります。 6月11日、12日に東京国際フォーラムで開催されました。

オミクロンが下火になって来ているものの、まだ完全収束に至っていないので、感染拡大防止の対策として、入場者の事前登録、入場時の体温チェック、マスク着用が必要でした。 ネットで事前登録すると、QRコードが送られて来て入場の際にスマホにQRコードを表示させてスムースに音展に入場できました。 3年前と比べて、入場者は、8割程度か思われます。

今回も行き当たりばったりでブースを訪問しましたが、その中で最も興味を引いたのがTechnicsのブースで開催されていた「Lacquer Master Soundのトークアンド試聴会」でした。 今回はこの試聴会にフォーカスします。

 

Lacquer Master Soundについて

実は、勉強不足で今回の音展で「Lacquer Master Sound(ラッカーマスターサウンド)」の存在を初めて知りました。

この「Lacquer Master Sound」は「デジタル化した2Mix音源をD/A変換して、レコードのラッカー盤にダイレクトカッティングした後、ハイエンドのプレーヤでラッカー盤をアナログ再生してデジタイズ(D/A変換)してデジタル配信を行う」というものです。 つまり「Lacquer Master Sound」を一言で言い表せば、デジタルソースをアナログレコードというフィルターを介してデジタル配信を行うもので、デジタルサウンドの音質とは一線を画すユニークなサービスと解釈できます。

また、CD音源を「Lacquer Master Sound」化することで、ラッカー盤再生時に倍音成分が加わり、CDのナイキスト周波数(22.05khz)以上に上限再生周波数が拡大されるとのことです。(高域補完技術は、音源成分を解析して人工的に倍音成分を付加していますが、Lacquer Master Soundの場合は、カートリッジのアナログ歪(後述)を利用した自然な高域補完と言えるかもしれません。)

ミキサーズラボ・サイトの「Lacquer Master Sound」ページに詳しい説明と「サンプル音源」が掲載されていますので、ここをクリックしてご覧ください。

また、「Lacquer Master Sound」のPR・YouTube動画を以下に添付しておきます。

 

オペレータ
「Lacquer Master Sound」の試聴会は、当ブログのテーマである「LPレコードと比較してCD音質で違和感を覚えていませんか? 特にクラシックのストリングスの音に違和感を覚えます。」の疑問を解くものでした。

 

「Lacquer Master Soundのトークアンド試聴会」

<トークアンド試聴会の解説者>

6月11日(土曜)pm2時からのトークアンド試聴会に参加させて頂きました。 

トークアンド試聴会で試聴した音源は、ジャズ、ポップス、歌謡曲のジャンルから、以下の3種類のサウンドを比較します。

比較音源

  1. 96khz 32bitの2Mixマスター音源
  2. ラッカー盤を再生したアナログ音源を96khz 24bitでデジタイズした音源(=Lacquer Master Sound)
  3. 96khz 32bitのマスター音源をCDフォーマットにダウングレードした音源

 

3種類の音源試聴・比較と感想

(3種類の音源を試聴して)

今回の、3つの音源の中で最も好ましく聴きやすかった音源は、ラッカー盤を再生したアナログ音源を96khz 24bitでデジタイズした音源、つまり「Lacquer Master Sound」でした。

確かに、オリジナルの96khz 32bitのマスター音源はメリハリの効いたサウンドではありますが、高域がキツく感じます。

解説者の内沼さん曰く、「Lacquer Master Soundは、シンバルの音が自然で明瞭に聞こえ、Ortofon SPUカートリッジのクロストークがあるにも関わらず、不思議にも音の広がりを感じる」と表現されていました。

今回の試聴比較で、今まで「レコード音質と比較してCD音質(DDD)に違和感を感じていた(少なくも音質に違いがある)」のは事実ということが裏付けられた気がします。

 

「Lacquer Master Sound」が好ましく聴こえるのは何故?(推論)

ここで、「Lacquer Master Sound」が、何故音の広がりや高域が好ましく聴こえる様になるのか?弊ブログのデータを元に、僭越ながら私見として推論を以下に述べさせて頂きます。

クロストークと音の広がりについて

上記のブログページによれば、DENON(DL-103R)カートリッジをテストレコード(AD-1)を用いてリサージュ波形を用いてクローストーク位相(L/R)を観測したところ逆相のエリア(90°〜180°)にある結果でした。 ウィキペディアの定位感によれば、「一般に逆相成分の多い音は遠くで広がるように聞こえる」との記述があり、カートリッジのクロストークに逆相成分が含まれていれば、音の広がりを感じる様になると考えられます。

ここで、参考までに「カートリッジのクロストーク位相を確認(Osciloppoiのリサージュ波形)」ページから、順相/逆相のサンプルビデオを視聴ください。 

逆相の場合、音の広がりを感じると思います。(逆相時、モノラールで再生すると左右が打消されて音が再生されません)

サンプル音源は、テストレコード(AD-1)のバンド3:位相チェック信号の順相(同相)と逆相再生のデモです。(一部音声が途切れています。 信号は、500hz 1オクターブバンドノイズです)

 

以上のことから、「Lacquer Master Sound」が音の広がりを感じるのは、ラッカー盤を再生する際に使用している、Ortofon SPUカートリッジのクロストークに逆相成分が含まれるため「音の広がりが感じられる」のではないかと推察します。

(注記)弊ブログ記事のカートリッジDENON(DL-103R)データに基づいて音質を推論したものであり「Lacquer Master Sound」の実際の音質を裏付けるものではありません。

 

高域が好ましく聴こえる倍音について

「アナログ・レコードのここがダメ」によれば、テストレコード(AD-1)side2 の「バンド4:基準レベル、1kHz、3.54cm/sec(尖頭値)、左チャネル」を「MCカートリッジ:DENON DL103R」を使って再生すると、下のスペクトルで示す様に1khz正弦波の倍音(ハーモニックス 歪)成分が6khzまで見られました。

1khz スペクトル

 

以上のスペクトルで、基準信号の整数倍のハーモニクス(倍音)が発生する要因はカートリッジ(DL103)特有の歪でカートリッジの音色を与えるものと考えられます。 

「Lacquer Master Sound」ラッカー盤を再生する際に使用している、Ortofon SPUカートリッジであってもレベルの違いはあるにせよ、同様のハーモニクス(倍音)が発生すると考えられます。 確証はありませんが、この倍音のために高域が聴きやすくなる要因かもしれません。

また、CD音源をレコード化して再生すれば自ずとナイキスト周波数以上の倍音成分が付加されて自然に高域補完が行われると推察されます。

(注記)弊ブログ記事のカートリッジDENON(DL-103R)データに基づいて音質を推論したものであり「Lacquer Master Sound」の実際の音質を裏付けるものではありません。

 

オペレータ
ここで、オーディオマニアから、「96khz 32bitの2Mixマスター音源をラッカー盤に落としたレコードを、幾らハイエンドのプレーヤで再生すると言えども、マスター音質を劣化させることになり邪道である」と言う声が聞こえて来そうですが、元々完璧なオーディオは存在せず、バイオリンの名器の様に、好ましい音質に変質するのであれば、これも一つのオーディオの求める道では無いかと思う次第です。

 

最後に
「Lacquer Master Sound」のサウンドはCD音質(デジタル)の違和感から解放されるユニークなチャレンジでありその開発姿勢に敬意を表する次第です。 

ただ、自分が保有するデジタル音源を「Lacquer Master Sound」化して聴くためには価格を含め少々ハードルが高いのが難点と思いました。 そのために例えば「Lacquer Master Sound」の発展形として、ラッカー盤・再生系を置き換える「Lacquer Master Sound」ライクな等価フィルターを経由するなど、研究開発を進めて、「Lacquer Master Sound」が更に進展されることを期待しています。

 

以上、音展で開催されていた「Lacquer Master Sound」のトークアンド試聴会をフォーカスして紹介しました。 

 

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