カートリッジ・クロストーク位相の確認ーDENON(DL-103R)検証編

投稿日:2018年12月9日 更新日:

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前回ブログは、位相を確認するための準備編でした。 今回は実際にDENONDL-103R)カートリッジを通して、カートリッジのアジマス調整・前後でのクロストーク(漏れ信号)の位相変化を確認してみたいと思います。

更に、クロストーク「原理編」でマトリクス原理から導かれた、クロストークによる信号は、逆相になるのか否かも確認したいと思います。

 

 

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クロストークを確認するための信号源

信号源は、テストレコード(AD-1)に入っている、BAND4(基準レベル左ch)及びBAND5(基準レベル右ch)を使用します。 AD-1の説明書によれば、「基準レベルは、1khz、3.54cm/sec-45°方向 尖頭値の速度振幅をもつ信号が、左右それぞれ収めてある」とのことです。

この基準信号をDENON(DL-103R)カートリッジでトレースして、録音ソフトのVinylStudioでハイレゾ(192khz 24bit FLAC)で録音します。

例えば、右chに記録されている基準信号が、左chへの漏れ量を測定すればクロストーク(db)を調べられますし、基準信号とクロストーク(漏れ)信号の位相差も調べられます。

クロストークの改善方法については、下のブログを参照してください。

 

クロストーク(漏れ信号)位相差を確認する手順

リサージュ波形で位相差を調べるためには、基準信号(1khz)とクロストーク(漏れ)信号のレベルをほぼ同じくらいに加工処理する必要があります。 このため、VinylStudioで録音したAD-1の基準信号のハイレゾファイルを簡単に加工処理を行なうことができるAudacityに取り込みます。

クロストーク(漏れ)信号のレベルは、 非常に小さいので ノイズの影響を受けます。 このため、Audacityのエフェクトにある"High Pass Filter"(500hz以下をカット)、"Low Pass Filter"(5khz以上をカット)を使用して低域と高域のノイズを極力小さくしておきます。 

トラックボタンを押して
ステレオトラックの分離を行います。

 

リサージュ波形から、位相差を特定するために寸法測定しますので、できるだけ夫々のch信号を大きくする必要があります。 そこで、分離した夫々のチャンネルに対して、エフェクトの正規化(-3db)を行いできるだけチャンネルのレベルを大きくします。 (クロストーク信号と基準信号をほぼ同じレベルにする。)

 

以上の手順で、「オシロっぽい」アプリにて左右チャンネル信号を確認しますと、ほぼ同じレベルに揃った基準信号(1khz正弦波)クロストーク(漏れ)信号が得られました。

黄色波形(上)左ch基準信号

青色波形(下)右chクロストーク(漏れ)信号

 

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それでは、基準信号とクロストーク(漏れ)信号のリサージュ波形から位相差を算出してみます

ポイント

ステレオレコードのクロストークは、本質的に無くすことはできませんが、『DENON MCカートリッジ DL103Rのクロストーク「 改善編」』のブログ記事の様に、カートリッジのアジマス(レコード面との傾き)調整でクロストークを減少させることはできますので、アジマス調整前と後で、クロストーク信号の位相差がどの様に変わるかを調べました。

 

アジマス調整

左chクロストーク量(基準信号は右chで左chへの漏れ

クロストーク:-30.42db 位相差は、31°

右チャンネルクロストーク量(基準信号は左chで右chへの漏れ

クロストーク:-21.7db 位相差は、167°

アジマス調整

左chクロストーク量(基準信号は右chで左chへの漏れ

-29.55db 位相差は、159°

右チャンネルクロストーク量(基準信号は左chで右chへの漏れ

クロストーク:-30.77db 位相差は、149°

ポイント

a1,b1などの数値は、リサージュ波形をマックのkeynoteへコピペし、矢印図形の長さからピクセルを求めたものです。

位相差Φの算出は、Numbers・関数から、=DEGREES(ASIN(a1/b1))で算出しました。

リサージュ形状から逆相である場合は、=180-DEGREES(ASIN(a1/b1))で算出しました。

基準信号によるクロストークの位相差について まとめ

1khz
基準信号
左チャンネル右チャンネル
位相差Φクロストーク位相差Φクロストーク

アジマス調整

31°-30.42db167°-21.7db
アジマス調整
159°-29.55db149°-30.77db

DENON(DL-103)カートリッジをアジマス調整した後、基準信号とクロストーク信号との位相差は、逆相のエリア(90°〜180°)にあることが判りました。 これは、試料の母数が少ないので、確定的ではではありませんが、原理編で想定したクロストーク信号は、「逆相になるのではないか?」と符合した結果になりました。

1khzのクロストークのレベルは、-30db前後で、定位上、殆ど聴感上の影響は無いと思いますが、逆相を再生した時、音像の定位感はどうなるでしょうか? ウィキペディアによりますと、以下の説明がありました。

[https://ja.wikipedia.org/wiki/定位感]

オーディオ・スピーカーにおける定位感(ていいかん)とは、ステレオ録音におけるサウンド・ステージのなかで、音像の配置関係が左右以外にも遠近方向に渡って表現される情況を指す。左右の配置は音量のバランスで示されるが、遠近感は左右の逆相成分の大小、イコライジングによるプレゼンスの強弱によって得られる。

解説[編集]
一般に逆相成分の多い音は遠くで広がるように聞こえ、少ない音は近い場所で直接的に鳴っているように聞こえる。またイコライジングでも200~2000Hzまでが徐々にブーストされた音は前に張り出して聞こえ、逆にカットされた音は奥に引っ込んだように聞こえる。逆相成分による現象はホールの反響に起因する経験的なもので、イコライジングによる現象はラウドネス効果による音響心理的なものである。

 

可聴帯域全体でのクロストークの位相は如何に?

クロストークの周波数特性は、100hz以下から、低域共振にかけて、クロストークが悪化しています。 残念ながら、AD-1に低域の基準信号が無く、位相差の確認はできていませんが、「バンド1:周波数スロースイープ信号、20Hz – 20kH、左チャネル」と「バンド2:周波数スロースイープ信号、20Hz – 20kH、右チャネル」のスイープ波形で概略の位相差みると、低域では同相に変化している様です。 カートリッジは機械系の共振に影響するので、位相も複雑に変化する様です。

DENON(DL103R)カートリッジにおける、1khzのクロストーク位相差は特定できたものの、可聴帯域に亘る位相差は特定できていません。

注意ポイント

片chに記録された周波数スイープ信号でみる限りレコードとカートリッジの機械系要素で、周波数によって位相差が複雑に変化する様で、ここら辺が、CD音質とレコード音質の違いに現れているかも知れません。

 

低域共振で位相が回転する瞬間を撮りましたので、以下の記事も併せてご覧ください。

 


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