日本製MCカートリッジでは、音質に定評のあるデノン製MCカートリッジ DL103Rを購入しましたので、(中々カッコいいでしょう?) 以前のブログ「MCカートリッジとMMカートリッジの音質比較」に引き続いて、LPレコードの1966年録音盤・カラヤン指揮BPOの「ラベル編曲・ムソルグスキー展覧会の絵」「バーバ・ヤーガの小屋」をDL103Rでハイレコ録音して、ブログで評価したカートリッジとの音質比較を行ってみました。
目 次
DENON製MCカートリッジ DL103Rについて
DL-103の基本テクノロジーを踏襲したMC型カートリッジDL103Rは、1994年9月に発売され今に至っているロングラン製品です。
取説上のDL-103Rの特徴
発電コイルに純度99.9999%(6N)の高純度銅を採用し、音楽信号の伝達ロスをおさえ、歪が少なくクリアーで力強いサウンドを実現します。
本体ケースに高剛性材料を採用し、更に表面をコーティングして不要振動をおさえています。
DL-103Rと比較するカートリッジ(仕様比較)
DL-103Rカートリッジ(CTG-1)の音質を確認するため、比較用として、MMタイプのシュアーV15 type3(CTG-2)とMCタイプカートリッジのオルトフォンMC20(CTG-3)で比較します。
CTG
1 DENON DL-103Rの仕様
出力電圧 0.25mV | 再生周波数 20Hz~45kHz |
インピーダンス 14Ω | 針先 16.5μm丸針 |
針圧/2.5±0.3g | 自重/8.5g |
この製品に、データシートが添付されていました。
CTG
2 MM型 シュアー V15 type3の仕様
- 周波数範囲:10Hz〜25kHz
- 出力電圧 :3.5mV(1kHz、5cm/s)
- 針圧 :0.75g〜1.25g
尚、シュアーV15 type3は、 日本精機宝石工業 シュアー「V-15TYPE3」用交換針(楕円針) VN35HE-楕円針(JICO)に交換して使用しています。
CTG
3 オルトフォン MC20の仕様
出力電圧 0.07mv | 再生周波数 5~60KHz |
インピーダンス 2.5Ω | 針先 ファインライン・8μm |
針圧/1.7g | 自重/7g |
DL103Rでハイレゾ録音しました
LPレコードは、グラモフォンレーベル、1966年録音・カラヤン指揮BPOの「ラベル編曲・ムソルグスキー展覧会の絵」の中から「バーバ・ヤーガの小屋」です。
このレコードをDL103Rで再生し、ADコンバータのGT40α経由でVinylStudioで96khz 24bitのFlacでハイレゾ録音しました。
MC型 DL103Rカートリッジ・録音
MP3 48khz 320kbps
FLAC 24bit 96khz
ファイルの
DLは、このボタンをクリック
Flac Down Load
MM型 シュアー V15 type3とMC型 オルトフォン MC20での録音ファイルです。
(カートリッジの違いでの音質を聞き分けてみてください。)
(画面よりはみ出たら、横にスクロールできます。)
ハイレゾ音源(Flac:96khz,24bit) | ハイレゾ音源(Flac:96khz,24bit) |
ハイレゾ音源からエンコードした mp3(320kbps)を聞いてみる | ハイレゾ音源からエンコードした mp3(320kbps)を聞いてみる |
録音ファイルの周波数分析と比較
❏ 周波数分析条件
- Audacityにファイルを取込、周波数分析します。
- 関数窓:hanning 大きさ:65536ポイント
- 音源の周波数分析したスペクトルデータをテキストファイルで書出した後、Excelでグラフ化等を解析します。
- 夫々の音源ファイルを最大レベルを−3dbになるように、正規化処理を行っています。
- 周波数分析の対象パート:「バーバ・ヤーガの小屋」の先頭から109.2秒間
❏ e-onkyoからダウンロード購入したハイレゾ音源とDL103Rのハイレゾ録音の比較
1)単純にスペクトルを比較
上のグラフでは、全体像が掴みにくいので、1khz幅で音圧レベルを平均化し、更に、リファレンスであるe-onkyoハイレゾとの誤差率を求めてみたのが、下のグラフです。
2)1khz幅で平均化したスペクトル比較と誤差率
レファレンス音源のe-onkyoハイレゾに対して 、全体的に若干音圧レベルがー1%程シフトしています。 17khz付近からDL103Rのレベルが若干低下しています。
❏ デノン DL103Rとオルトフォン MC20のハイレゾ録音比較
1)単純にスペクトルを比較
2)1khz幅で平均化したスペクトル比較と誤差率
MCカートリッジ同士のためか、スペクトルが非常に近似しています。
カートリッジの聴感比較とマトメ
夫々のファイルをHAP-Z1ESに取込み、我が家のB級オーディオで試聴しました。
今回DL103Rを購入して、30年以上前のMC20のカートリッジの音質を凌駕するものと期待していましたが、スペクトルのデータでは、MC20と非常に近似しているものの、低域の豊かとダイナミック感からMC20の方が音質順位が上位である様に感じられ、今もってオルトフォンのMC20が健在なのにはビックリしました。
一方、DL103Rの音色は、クリアーで以前愛聴したグレースのF8Lカートリッジに近く、ストリングスの再生には適している様に思われ、以前のブログで紹介したストリングスの多いベートーヴェン シンフォニー第8番 第2楽章でも評価を試みて見たいと思っています。
e-onkyoのハイレゾ音源と比較したカートリッジの総合順位をつけると、以下の通りでした
MC20 > DL103R >MM型V15 type3