カートリッジのスタイラスを針先クリーニングした後で微物の付着有無を確認してみたい時があります。
ネットで調べると、針先を見る倍率は約40倍程度が必要とのことで、倍率が40倍程度のデジタル・マイクロスコープを使ってレコード・カートリッジのスタイラス(針先)を確認してみることにしました。
デジタル・マイクロスコープは、ピンからキリまであり、頻繁にスタイラスの状態を確認する機会は少ないので、ケチケチ作戦でAmazonから、廉価版の中国製のJiusion デジタル・マイクロスコープ(解像度は640✕480)を(¥2,399で)購入しました。
今回は、このデジタル・マイクロスコープがカートリッジのスタイラス(針先)の確認に使えるか試してみました。
使用したJiusion デジタル・マイクロスコープについて
- Jiusion デジタル・マイクロスコープの同梱物は、以下の通り
USB / MicroUSB 2in1顕微鏡(本体)、タイプC変換アダプター、金属スタンド、 CD-ROM-Windowsドライバー、定規、 取説
- 使用PC:基本的なOSはWindowsですが、今回はM1-MacBook Airを使いました。
- 倍率について:後述しますが、実際のところ20倍〜≒100倍程度と思われます。
macに接続する
Jiusion デジタル・マイクロスコープ本体から出ているUSBケーブルをmacに接続し、Appleの「Photo Booth」アプリを立ち上げJiusion デジタル・マイクロスコープのデバイスを選択すれば画像を見ることができます。 但し、その画像は逆になりますし、スナップショット機能がありません。
使い勝手を良くするには、Jiusion サイト のマニュアルに、「Plugable Technologies社の汎用Mac顕微鏡ソフトウェアを利用できる」との記述があり、Digital Viewer ソフトウェアをダウンロード( Digital Viewer 3.3.30)してインストールしました。 このソフトを利用することで、画像のスナップショットも保存できます。
Digital Viewer ソフトウェアのDL先https://ja.plugable.com/pages/microscope-drivers
Jiusion デジタル・マイクロスコーの使い方
倍率(フォーカス)調整がクリティカルなため、使いこなすには少々コツを要します。
倍率を変えるには、
対象物との距離で倍率を変えることが出来ます。 最低倍率(40倍)で使用するには、倍率調整ダイヤルを40Xpositionにして、対象物までの距離を調整してフォーカスさせます。 倍率を上げたい時は、対象物との距離を近づけてダイヤルを調整してフォーカスさせます。
カートリッジのスタイラスを見るには、
スタイラスまでの距離を近づけるため、Jiusion デジタル・マイクロスコープ(本体)先端に付いている透明のプラスチックカバーを外します。 倍率調整ダイヤルを動かしたとき、針先に接眼レンズが接触しないように注意してください。
カートリッジのスタイラス(針先)画像
シュアー「V-15TYPE3」のスタイラス
DENON DL103Rのスタイラス
スタイラス(針)のクリーニング【メンテナンス】
徐々に微物が針先に蓄積してくると、内周歪と相まって音割れが生じる危険性があります。 この音割れは、プチノイズと違ってデジタルで抑制処理が出来ず、録音のやり直しが必要になります。 このリスクを避けるため、スタイラスのクリーニングは、録音前にこまめに実施することが望ましいです。
♬ クリーニング前後のサウンド
ヴェルディのTROVATOREのレコードをハイレゾ収録した時のスタイラス(カートリッジの針)の汚れをクリーニングして音割れ(音のカスレ)を改善した事例です。
針先クリーニング - 後
針先クリーニング - 前
クリーニング方法は、「乾式」「湿式」「粘着式」の3つの方式があります。 この中で「湿式」は、薬液で汚れが良く取れますが、カートリッジによっては禁止されている方式ですので注意が必要です。(スタイラスチップとカンチレバーの接着剥がれに繋がりかねない)
ベストチョイスは「粘着式」と「乾式」の併用が良いと思われます。
「乾式」はカートリッジに付属しているハケを使って針先の汚れを除去する一番安全な方法ですが、根気を要します。 「粘着式」は粘着性を有するポリウレタンゲルで、針先をゲルに接することで汚れをゲル側に吸着させます。 操作が簡単ですので、こまめにクリーニングすることができます。
粘着式:針先クリーナの使用方法
audio-technicaの「AT617a」は、カートリッジの針先を、粘着面に軽く押し当てて針先の汚れを除去します。 レコード収録開始時と終了時に、この粘着式 針先クリーナを使うことをオススメします。