
カラヤン指揮・Beethoven ”交響曲8番”第2楽章 イエス・キリスト教会での1962年録音をベースにした、e-onkyoのハイレゾ音源、CD音源、LPレコードからのハイレコ音源のトリプル音源の音質比較を試みました。 また、評価指標として、周波数分析した後、周波数ブロック単位の相関係数を使用することで可視化指標のツールとなり得るかも考察しました。
実は、この指標を試したものの、ストリングスをフォーカスした音質比較に於いては適していないことが分かり、新たに、スペクトログラムによる評価を追加しました。(2026/7/12)
音質評価対象として、Beethoven”Beethoven”交響曲8番”第2楽章 ”を選んだ理由は、ストリングスのパートが豊富で、ストリングスの音色評価を行うのに最適と思われたからです。
トリプル音源について
音源
1 ハイレゾ音源ファイル
e-onkyoの「ベートーヴェン: 交響曲全集」の中から「交響曲8番 第2楽章」を購入ダウンロードしました。 ファイルフォーマットは、24bit 96khzのflacファイルです。 また、「独Emil Berliner Studios制作2003年DSDマスター使用」とのことでした。
注記: 「e-onkyo music」は、2024年10月16日の正午に20年近い歴史に幕を下ろし、「Qobuz(コバズ)」に統合されました。 音源
2 CD音源ファイル
今回も、「クラシック音楽へのおさそい~BlueSkyLabel~」のflacデータベースを使用させて頂きました。 ファイルフォーマットは、16bit 44.1khzのflacファイルです。
音源
3 LPレコードから収録したハイレコ音源ファイル
LPレコードから、GT40αでAD変換しVinylStudioでハイレゾフォーマット24bit 192khzで録音し、プチノイズ抑制処理をしています。 また、各音源の再生スピードに合わせるため、Audacityで微調整しています。 ハイレゾタブのダウンロードボダンを押すと、ハイレコ音源がダウンロードできます。
カラヤン指揮・Beethoven ”交響曲8番”第2楽章 イエス・キリスト教会での1962年録音
MP3 48khz 320kbps
トリプル音源の波形
- LP(ハイレコ)以外の各音源は、Audacityで周波数分析するため、192khzにリサンプリングしています。
- CD音源の音圧レベルが若干低い様です。
トリプル音源の音質 聴感評価
各トリプル音源を「我が家のB級オーディオシステム」で再生しストリングスの音質をフォーカスした聴感評価を行いました。
音質順位:LP(ハイレコ)音源 > ハイレゾ音源 > CD音源 でした。
- LP(ハイレコ)音源は、全体的に透明感があり、ストリングスも自然に聞こえます。
- ハイレゾ音源は、全体的なバランスが取れていますが、ストリングスが奥まっている感じです。
- CD音源は、解像感が乏しく、ストリングスも冷たく硬い感じです。(一般的に言うCD音質です)
周波数分析と相関係数による解析
❏周波数分析の条件
関数窓:hanning 大きさ:16384ポイント
解析対象パート:36.475秒〜30.021秒間
周波数分析データをテキストファイルに書出しExcelを使用しデータ解析します。
❏相関係数について
各音源に対する周波数と音圧レベルデータから、周波数を1khz毎にブロック分けし音圧レベルの相関係数を算出します。計算はCORREL(コリレーション)関数を使います。
1khz幅での音圧レベルの相関係数を見ることで、比較する音源の相関の強さが判り、どの周波数帯に対して近似しているかが可視化できるのでは無いかと考えました。
❏ CD音源 vs LP(ハイレコ)音源 <相関係数とスペクトル>

❏ ハイレゾ音源 vs LP(ハイレコ)音源 <相関係数とスペクトル>

❏ 参考:LP(ハイレコ)音源 vs ハイレコのCDフォーマット化 音源(downgrade) <相関係数>
※以前ブログ(簡易検証編その2 「CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか?」)のデータファイルから相関係数をグラフ化しました。

各音源の相関係数を調べてみたものの
トリプル音源の評価指標として、周波数分析後、1kHz毎の周波数ブロック単位の相関係数をトライしたもの、残念ながら、この指標では、ストリングス音質をフォーカスした「トリプル音源の音質 聴感評価」結果順位【 LP(ハイレコ)音源>ハイレゾ音源>CD音源 】を明確に説明することが出来ませんでした。
これは、スペクトルの解析対象パートを36.475秒から30.021秒間に限定してるため、30.021秒間の周波数成分の総合評価となり、ストリングス部分の音質評価には適しないことが分かりました。 ストリングス部分の音質評価を行うには、次節で説明するスペクトログラムの方が適しています。
【2026年追記】スペクトログラム解析による再検証
スペクトログラムは、横軸に時間、縦軸に周波数、音圧レベルをカラーで3次元的にビジュアル表示するものです。 つまり、「いつ、どの周波数(倍音など)が、どれくらい強かったか」が分かるので、各音源の音質差が時間軸上でビジュアル的に掴めます。 スペクトログラムを見るSpectrogram Viewerツールは、ここをクリックして参照してください。
Spectrogram Viewerツールによるスペクトログラム分析時間設定は、ストリングスパート(倍音)を解析するため、楽曲の冒頭から約1分経過した地点における5秒間です。 (注記:各音源の開始時間で若干バラツキます) なお、ナイキスト周波数を統一するため、夫々の音源は、CDフォーマット(fc=44.1khz)に統一しています。
スペクトログラム画像比較
下に示す各3つのタブ(タイル)をクリックすることで、スペクトログラム画像が切り替り、一目瞭然で比較ができます。 着目すべきストリングスパート(倍音)部分を白枠で囲んでいます。
スペクトログラム画像・考察
- CD音源とハイレゾ音源の倍音部のスペクトログラムは非常によく似ており、音の基本的な構造に大きな違いは見られなかった。
- ストリングスの倍音成分は、CD音源が約19.6kHz、ハイレゾ音源が約20.8kHz付近で消滅しており、ハイレゾの方がより広帯域な情報を保持していることが確認できた。
- ハイレコ(LPレコード)音源では、倍音成分がナイキスト周波数付近まで存在し、さらに倍音内部の模様も他の音源より密度が高く観測された。 この点から、ハイレコで観測された倍音の増加は、マスター音源の鮮度の違いというより、レコード再生系やカートリッジ(DL-103R)による高調波歪みや付帯音が加わった結果である可能性が高いと考えられる。
- ストリングス(倍音)周波数の高さ順で現すと、ハイレコ> ハイレゾ > CDとなり、試聴評価結果と同じになった。
スペクトログラムによるストリングス(倍音)周波数の高さと試聴評価における「ハイレコ> ハイレゾ > CD」という順位が同じ結果となったのは、LPレコードにおける再生系の歪によって付加された倍音成分が 音楽的な魅力として優位に作用したこと、次にハイレゾ音源がCD音源よりも広帯域な倍音情報を保持していたことで試聴評価の順位に繋がったものと考えられます。
以上 トリプル音源の音質比較でした。
「LP(ハイレコ)音源」が聴感上で最高評価になった! 下の記事が裏付けになるかも知れません。
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