ハイレゾ音源
ADM化するレコードのハイレゾ音源について
今回のレコードは1965年に録音(録音から60年経過)されたヘンリック・シェリングが弾く「シベリウスのバイオリンコンチェルト ニ短調 作品47 ロジェストヴェンスキー指揮 ロンドン交響楽団」としました。
いつもの様に、このレコードをADコンバータ・GT40αを経由してVinylstudioでハイレゾ録音しました。 ADMテクノロジーの要求仕様としては、ビット深度24bitのWav(又はAIFF)形式でサンプリング周波数が96khzが望ましいとされていますので、Vinylstudioでレコード録音し、プチノイズ抑制やノーマライズ(-3db)などの処理をした後、ビット深度24bit サンプリング周波数を96khzにしたWavファイルで出力しました。
ハイレゾ音源をADM化する方法
Apple Digital Mastersの紹介記事から「Apple Digital Mastersドロップレット」ツールをダウンロードして、OSXにインストールしておきます。
このツールは、以下の4つのツールで構成されていて、ハイレゾ音源をADM化するには、「Apple DIgital Masters Droplet.app」へWave又はAIFFファイルをドラッグ・アンド・ドロップすればAMD化(AAC)されたファイルがドラッグした元のフォルダーへ出力されます。(チュートリアル動画 参照)
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ドロップレットツールの構成
ADM化するツール
- Apple DIgital Masters Droplet.app
Wavへデコードする評価用ツール
- Audio to WAVE 44.1K Droplet.app
- Audio to WAVE 48K Droplet.app
- Audio to WAVE 96K Droplet.app
ドロップレットツール群
注意ポイント
- ADM化に要する時間は、ハイレゾファイルのサイズが大きいと処理時間が長くなります。 macbookのパフォーマンスで差が生じますが、例えば第1楽章のファイルサイズは537.4MBでADM化する時間は約4分以上を要しました。
- AMD化(AAC)されたファイルは、単に「Apple DIgital Masters Droplet.app」ツールを使用して変換したものでありAppleブランドのApple Digital Mastersファイルではないことをお断りします。 ついては、「Apple Digital Masters相当」若しくはADM化と称することにします。
♪ ADM化したサウンドを聴いてください。

ヘンリック・シェリング vn
ロジェストヴェンスキー指揮 ロンドン交響楽団
シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47
1965年録音(録音から60年経過)
ハイレゾからApple Digtal Master相当へ変換
(AAC 44.1khz 256kbps)

ヘンリック・シェリング vn
ロジェストヴェンスキー指揮 ロンドン交響楽団
シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47
1965年録音(録音から60年経過)
第3楽章: WAV 24bit 96khz
Wav Down Load
ADM化ファイルとオリジナル(Wav)のスペクトル解析
何時ものように、双方のファイルをAudacityでスペクトル比較してみます。 スペクトル比較する音源部分は第3楽章のフォルテ付近です。
スペクトル比較の流れ
- フォーマットによるデコード誤差を排除するためにADM化ファイル(AAC)を「Audio to WAVE 96K Droplet.app」にドラッグ・アンド・ドロップして、24bit 96khzのWebファイルに変換(約2分程の処理時間を要しました)
- Audacityに夫々のファイルを取り込む(fig-1参照)
- スペクトル分析するオーディオ範囲(音源先頭の3分から50秒間)をドラッグしてフォーカスした後、解析 > スペクトラム表示 をクリックしてスペクトラム画面を開く
- スペクトラム画面でスペクトル条件を関数窓:hanning 大きさ:16384ポイント再描画し [書き出し] ボタンをクリックしてテキストファイルを書き出す
- EXCELに双方のスペクトル・テキストファイルを取り込みグラフ化して音質比較を行う(fig-2〜fig3参照)
fig-1: Audacityに取り込んだ波形とスペクトル分析エリア
fig-2: 夫々のファイルのスペクトル
fig-3: 夫々のファイルの差分スペクトル
マトメ(スペクトル解析から分かること)
- fig-3:夫々のファイルの差分スペクトルを見ると20khz付近で誤差が最大になりその差は0.5dbでした。 この程度のレベル差であれば聴感上の判別は困難であると推察できます。
- fig-3で誤差は約2khz付近から徐々に大きくなっていますが、その差レベルはバックナンバー記事(その2)の結果中の周波数特性(20khzで-3db減衰)よりも小さい範囲で収まっています。 この理由は定かではありませんが、ピュアー音源のノコギリ波の20khzでのピークポイントの音圧レベルが-38.06dbに対して20khz付近のリアル音源では-100dbとなっていてノイズフロアレベル程度の微弱レベルになっているのが原因ではないかと思われます。
- バックナンバー記事(その2)のピュアー音源の中でADMよりもXLDエンコーダ(320kbps)方が音質優位の結果でした。 XLDについても同様に第3楽章のハイレゾのリアル音源をエンコードし追試してOriginalとのスペクトル差分グラフがfig-4です。 このグラフの通り、差分レベルが最大でも0.5db未満でADMよりも若干誤差が小さいものの、その差は僅かであり、ADMの音質で実用的には必要十分である様に思いました。
fig-4: オリジナルとXLDファイルの差分スペクトル(追試)
ADMの音質評価・バックナンバー
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以上、ハイレゾのリアル音源をApple Digital Masterに変換した音質結果でした。 Apple Digital Master(AAC)に対応できるデコーダ(AppleのiPhoneやiTunes等)であればマスター音源に近い音質を得られるものと思われました。
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