ピュアー音源で4種類のサウンドアプリに搭載されているAACエンコーダを評価してみました。

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使用しているサウンドアプリの違いでAACにエンコードした時の音質に違いがあるようです。 そこで、ピュアー音源を使ってVinylStudio、iTunes、XLD、Audacityに搭載されている4種類のAACエンコーダで出力したAACファイルを周波数分析しスペクトルの形状比較で評価してみました。 評価にあたって、AAC設定は音質重視したモード設定でAACにエンコードしています。

 

先ずは、結果を知りたい方は、ここをクリックしてください。

 

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評価用ピュアー音源(ノコギリ波)について

評価用のピュアー音源は、『ピュアー音源から見た「MP3、AAC」の音質比較』で使用したピュアー音源(2.5khzノコギリ波 -20db 5秒間)を使用します。

 

このピュアー音源は8つの正弦波(2.5khzを基本波として最大:2.5khz✕8=20khzまでの整数倍周波数)をWaveGeneで加算して2.5khzのノコギリ波を生成しています。 AACエンコーダが48khz(若しくはCDフォーマットなら44.1khz)のサンプリング周波数であればナイキスト周波数は24khz(若しくは44.1khz/2=22.05khz)です。 一方、ピュアー音源(ノコギリ波)の最大周波数は20khzでナイキスト周波数以下ですので、エイリアスは原理的に発生しない評価用音源になっています。

Wav(192Khz 24bit MiB5.49 MiB) Down load
 

評価用ピュアー音源の理論波形
詳細は「ノコギリ波PCM音源の作成」を参照ください。

ピュアー音源のMediainfo情報

フォーマット : PCM
設定 : Little / Signed
コーデック ID : 1
ながさ : 5秒 0秒
ビットレートモード : CBR モード

ビットレート : 9 216 Kbps
チャンネル : 2 チャンネル
サンプルレート : 192 KHz
BitDepth/String : 24 ビット
ストリームサイズ : 5.49 MiB (100%)

 

評価するAACエンコーダー(4種類)の設定とAACファイル

MAC OSは、OSX(version10.13.6)High Sierraを使用しています。

 

VinylStudio (使用version:9.0.9)

VinylStudioは、LPレコード用に開発されたソフトで当サイトで使用しています。 

step
1
AAC設定

AACの設定は、ピュアー音源をインポートした後、Split Tracksタブでピュアー音源トラックをフォーカスし、右クリックでSave Track As....から以下画面の様に320kbpsでVBRのレ点を外してAACファイルを出力しました。 

step
2
VinylStudioでエンコードしたAACファイル

AAC 320kbps

+ クリックして下さい Mediainfo情報

Mediainfo情報

フォーマット : AAC LC
フォーマット/情報 : Advanced Audio Codec Low Complexity
コーデック ID : mp4a-40-2
ながさ : 7秒 0秒
Source_Duration/String : 7秒 19秒
ビットレートモード : VBR モード
ビットレート : 98.1 Kbps

ノミナル : 320 Kbps
最大 : 513 Kbps
チャンネル : 2 チャンネル
Channel layout : L R
サンプルレート : 48.0 KHz
フレームレート : 46.875 fps (1024 SPF)
ストリームサイズ : 83.8 KiB (95%)

注意ポイント

  • vinyl studioでは、AACのビットレートモードの設定はVBRを選択するかしないかの二者択一になっていて、明示的にCBRを選択できません。 ここでは、VBRを選択していない状態でエンコードした場合をCBRでエンコードしたということにしています。(この設定で出力されたAACファイルをMediainfoで調べるとVBRモードと表示されます)
  • AACにエンコードを実行するとき、「16ビット,48khzで保存される」旨の注意ダイアログが表示されます。 AACエンコードの場合、ビット深度24bitが16bitに変換後にエンコードされるようです。

 

iTunes (使用version:12.8.2.3)

iTunesは、MAC OS用に標準実装されているミュージックソフトです。 AACへエンコードする設定要点は以下の通りです。

step
1
AAC設定

AACの設定は、iTunesの環境設定>読込設定 カスタム設定320kbpsにしておきます。

AACにエンコードするときは、ピュアー音源(wavファイル)をiTunesへドラッグ・アンド・ドロップして、ピュアー音源をフォーカスした状態でファイル>変換>AACバージョンへ変換をクリックするとピュアー音源がAACファイルへ出力されます。 AACファイルの場所は、曲の情報からファイル場所が参照できます。

 

step
2
iTunesでエンコードしたAACファイル

AAC 320kbps

+ クリックして下さい Mediainfo情報

Mediainfo情報

フォーマット : AAC LC
フォーマット/情報 : Advanced Audio Codec Low Complexity
コーデック ID : mp4a-40-2
ながさ : 5秒 56秒
ビットレートモード : VBR モード
ビットレート : 132 Kbps
ノミナル : 320 Kbps

最大 : 130 Kbps
チャンネル : 2 チャンネル
Channel layout : L R
サンプルレート : 48.0 KHz
フレームレート : 46.875 fps (1024 SPF)
ストリームサイズ : 82.7 KiB (91%)

注意ポイント

  • iTunesでは、AACのビットレートモードの設定は可変ビットレート(VBR)を選択するかしないかの二者択一になっていて、明示的にCBRを選択できません。 ここでは、VBRを選択していない状態でエンコードした場合をCBRでエンコードしたということにしています。(この設定で出力されたAACファイルをMediainfoで調べるとVBRモードと表示されます)

 

XLD (使用version:20161007 (149.3))

XLDは、Mac OS X用のCDリッピング定番ソフトです。 AACへエンコードする設定要点は以下の通りです。

step
1
AAC設定

AACの設定は、XLDの環境設定(一般)出力フォーマットで「MPEG-4 AAC設定」を選択しオプションで320kbpsにしておきます。

AACにエンコードするときは、ファイルから開く>ピュアー音源(wavファイル)を選択すると環境設定(一般)で設定した場所にAACファイルが出力されます。

step
2
XLDでエンコードしたAACファイル

AAC 320kbps

+ クリックして下さい Mediainfo情報

Mediainfo情報

フォーマット : AAC LC
フォーマット/情報 : Advanced Audio Codec Low Complexity
コーデック ID : mp4a-40-2
ながさ : 5秒 56秒
ビットレートモード : VBR モード
ビットレート : 324 Kbps
最大 : 314 Kbps

チャンネル : 2 チャンネル
Channel layout : L R
サンプルレート : 48.0 KHz
フレームレート : 46.875 fps (1024 SPF)
ストリームサイズ : 198 KiB (76%)

注意ポイント

  • XLDでは、AACのモード設定をCBRに設定しているもののAACファイルをMediainfoで調べるとVBRモードと表示されます

 

Audacity (使用version:2.2.2.0)

Audacityは、多機能なフリーのオーディオ編集ソフトです。 機能の中に周波数分析データをテキストに書き出せる機能があり当記事もこの機能を利用させて頂いてエクセルでスペクトルグラフを作成しています。 AACへエンコードする手順要点は以下の通りです。

step
1
AAC設定

AACにエンコードするときは、ピュアー音源(wavファイル)をAudacityへドラッグ・アンド・ドロップします。 全体を選択した後、ファイル>Export>選択したオーディオの書き出しを選択すると下の画面になり、ファイルタイプの中から「MA4(AAC)ファイル(FFmpeg)」を選びます。ビットレートは選択できませんが品質を最高の500にして「保存」をクリックするとAACファイルが出力されます。 

step
2
AudacityでエンコードしたAACファイル

AAC Q500

+ クリックして下さい Mediainfo情報

Mediainfo情報

フォーマット : AAC LC
フォーマット/情報 : Advanced Audio Codec Low Complexity
コーデック ID : mp4a-40-2
ながさ : 5秒 34秒
Duration_LastFrame : -1秒
ビットレートモード : CBR モード
ビットレート : 196 Kbps

チャンネル : 2 チャンネル
Channel layout : L R
サンプルレート : 48.0 KHz
フレームレート : 46.875 fps (1024 SPF)
ストリームサイズ : 120 KiB (98%)

注意ポイント

  • Audacityでは、ビットレートの設定がありません。 品質の最高設定(500)でのAACファイルをMediainfoで調べると196KbpsでCBRモードと表示されます。 (品質を半分にしても196KbpsでCBRモードでした。)

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AACファイルの波形比較

ピュアー音源(2.5khzノコギリ波)及び各アプリでエンコードしたAACファイルをAudacityに取り込んだ波形を示します。

注意ポイント

ピュアー音源のWavフォーマットは192khzのサンプリングです。 一方AACのサンプリングは48khzですので、サンプリングポイントを合わせるために、Audacityのリサンプリングで48khzから192khzにアップコンバートした表示波形を示しています。

波形(Lch) 一覧
ピュアー音源

VinylStudio AAC

iTunes AAC

XLD AAC

Audacity AAC

ポイント

波形比較マトメ

  1. iTunesのAACファイルが、ピュアー音源の波形に最も近似していました。
  2. 一方、VinylStudioのAACファイルの波形は正弦波8波のうねりが少なく、ピュアー音源の波形・形状と相違しています。

この原因は、ちょっと見にくいのですがスペクトルの拡大図でスペクトルピュアー音源赤スペクトルがVinylStudio・AACを示しています。 20khzのピークレベルがピュアー音源()に対してVinylStudio()が約2db低いことがわかります。 つまり、高域が僅かながら減衰しVinylStudioのノコギリ波・波形で8波のうねりの高さが少なくなる要因と考えられます。 一方ピュアー音源の波形に最も近似していたiTunesは、ピュアー音源に対するスペクトルの高域レベル差がほとんどありませんでした。

 

AACファイルの周波数分析方法

評価用音源と上記 各AACファイルをAudacityに取り込み周波数分析します。

step
1
周波数分析エリアの選択

注意ポイント

周波数分析するに当たり、評価用ピュアー音源ファイル(Wavフォーマット 192khz)と出力されたAACファイル(48khz)のサンプリング周波数を合わせるために、予めAACファイルを48khzから192khzにリサンプリングを行っておきます。 リサンプリングの方法は、以下です。

Audacityに取り込んだAACファイル(波形)を選択した後、トラック>リサンプリングを選んで192khzにリサンプリングします。

Audacityに取り込んだ夫々のファイル(波形)を以下のように約4秒間(周波数分析エリア)を選択します。

 

step
2
スペクトル(周波数分析)の実行

解析 >スペクトル表示 を実行すると以下のスペクトル画面が表示されます。

この画面で、関数窓はHanningにしています。 FFTサイズを選択した後、「書き出しボタン」をクリックすると、周波数分析データがテキスト形式で書き出されます。 このテキストデータファイルをエクセルなどを使ってグラフ化して評価します。

注意ポイント

FFTサイズについて

FFTサイズはサイズを大きくするとスペクトルの分解能が高まります。

以前のブログ『ピュアー音源から見た「MP3、AAC」の音質比較』では、FFTサイズを「4096」にしていましたが、今回は分解能を高めた「65536」と以前の「4096」の2様の条件でスペクトルを確認しようと思います。

 

各音源の周波数分析(スペクトル)結果

オリジナル音源(ピュアー音源)と合わせて各AACファイルのスペクトルをグラフ描画しました。

VinylStudio AACファイル

ポイント

5khzズームで、-100db以下で発振状ノイズがサイドローブが現れていますが、これはAACにエンコードを実行するとき、ビット深度24bitを16bitにデグレード(degrade)にしている影響かもしれません。

 

iTunes AACファイル

ポイント

5khzズームで、-100db以下に発振状ノイズがサイドローブが現れており、これはVinylStudio AACファイルと非常に近似しています。 また、Mediainfoの情報も似ています。 iTunesも、AACにエンコードを実行するとき、ビット深度24bitが16bitに変換(degrade)されているかもしれません。

 

XLD AACファイル

ポイント

5khzズームで、両サイドローブのノイズレベルはランダムノイズでレベル最も低く、またオリジナル音源のカーブと一致していて、4つのAACエンコーダの中でXLDが最も音質的に優れているのではないかと思われます。

 

Audacity AACファイル

ポイント

5khzズームで、サイドローブの発振状ノイズレベルが-100dbを超えています。 これは、Mediainfoでのビットレートが196kbpsと4つのエンコーダの中で最も低くなっているためかもしれません。

 

マトメ (考察)

今回の評価実験でわかったこと。

  • 音質を聞き分け出来るか否かは別にして、AACでビットレート(再生上限周波数と相関)が決まれば音質が決まるという単純なものでなくサウンドアプリに搭載されているエンコーダー(プログラム仕様の違い?)によって出力されるAACファイルの音質に差が生じることが今回の実験で分かりました。
  • 波形比較ではiTunesのAACがピュアー音源の波形・形状に最も近似していました。 これは、スペクトルの20khzピークレベルがピュアー音源と一致していることから高域の減衰が少ないためと思われます。
  • レベルが低く聴感は問題ないと思われるものの、XLDを除いて、5khzズームスペクトルに発振状サイドローブが現れていました。
  • スペクトルのサイドローブを重きをおいて、音質的に優れているAACエンコーダに順位をつけるなら、XLD > iTunes > VinylStudio > Audacity と思われます。 但し、VinylStudioとiTunesの順位について、サイドローブは同等ですが、高域の減衰が少ないことから、iTunesを上位に置きました。

 

最後までお読み頂きありがとうございます。 今回の実験がご使用されているサウンドアプリに搭載されているAACエンコーダの音質を評価するときの一助になれば幸いです。

 


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