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ストラヴィンスキー”春の祭典” ハイ・レコとCDの音質比較

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カラヤン指揮・ストラヴィンスキーの春の祭典(以下ハルサイに略します) 1964年録音盤のLPレコードのハイレコ録音とCDとの音質比較を試みました。

LPレコードは、たまたまブックオフで300円で購入したもので、盤質や音質面でどうか?という不安がありましたが、あに図らんやハイ・レコしてみたところ、その音質が明瞭で奥行きがある好録音と言えるものでした。  ハイレコ条件として、カートリッジはオルトフォンMC20で192KHz,24bit、FLACフォーマットでの録音です。  一方CDは、アマゾンから購入したものです。CDのリッピングは直接HAP-Z1ESにFLACファイルとして取込みました。

 

 

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ハルサイ・カラヤン盤について

このハルサイ・カラヤン盤は、イエス・キリスト教会で1964年に録音されました。 今に至って、演奏として端正でメリハリの有る好演奏ではないかと思いますが、当時、作曲者のストラヴィンスキーより酷評を受けたというエピソードもある録音盤です。

 

LPレコードのハイ・レコとCD音質 聴感評価

両者を、HAP-Z1ESで聴き比べ再生したところ、LPレコードのハイレコ録音は、全体的におとなし目の感じですが透明感があります。

一方CD音質は、ブラスやティンパニーの音が生々しく、十分満足行くものでした。

しかしCDのストリングスの音をフォーカスすると、針金のような金属的な硬い感じに聞こえます。

重箱の隅を突っつくようで恐縮すが、クラシックのオーディオファンとしては、最も気になる点が、ストリングスが自然でなければ、音楽として違和感を覚えてしまいます。

やはり、前回のブログの「CDで再生されるストリングスの音は何故、違和感を覚えるか?」で考察した要因によるものか?このCDの音質は、高域のストリングス音が不自然に感じられました。

CD音質絶対信者の方には申し訳ありませんが、クラシックファンの一人としては、やはり、ストリングスの自然感から言ってLPレコードに軍配が上がります。

注意ポイント

ここで、レコードからハイレゾ化した音源を示したい所ですが、ストラビンスキーの没年が1971年で未だ著作権上保護されていますので、残念ですが公開できません。 没後53年で意外と最近亡くなったのですね。

 

次に、音楽ファイルとして、両者にどのような違いがあるか、調べてみたいと思い、Audacityでスペクトルの比較をしてみました。

ハルサイの同じ録音ソースといえども、LPレコードとCDでは、当然マスタリングが違いイコライジング特性も違うのは承知で、レコードからのハイレコファイルと、CDリッピングしたファイルを比較します。

 

対象楽曲の波形(エンベロープ)比較

スペクトル分析の対象楽曲は、いけにえの踊りの一節で、以下にエンベロープを示します。

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スペクトルの比較

audacityでスペクトル分析の両者比較を行うためには、サンプリング周波数、ビット深度を同じにする必要があり、CDリッピングファイルは192KHz,24bitにアップコンバートしています。

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  • 両者とも、可聴帯域では全体的な形状は略同じですが、ハイレコは、30Khz以上まで高域が伸びています。
  • CDの方は、CDフォーマット からのアップコンバートです。 20Khz付近でエイリアシング防止でハイカットされているのが分かります。

 

両者スペクトルを重ね合わせてみました

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両者のスペクトルを重ね合わせてみると、CDスペクトルは、4Khz付近よりレベルが盛り上がっていることが分かります。

この原因は、リマスタリングの差によるものか、以前のブログで述べた、サンプリング数とビット深度による波形誤差なのか不明でですが、ここら辺が、高域のストリングスの音の不自然さにつながっているものではないでしょうか?

 

更に詳しくエクセルを使って周波数分析を行いました

周波数分析条件

  • 使用ソフト:Audacity
  • 周波数分析の対象楽曲:いけにえの踊りの一節で、下記エンベロープの先頭から54.6秒間
  • ハイレコ音源:カートリッジはオルトフォンのMC20を使用し、VinylStudioで録音したものを24Bit、192khzでflac化した録音ソース(プチノイズ抑制処理済)を周波数分析します。
  • CD音源:CDのリッピングデータ(Flac)をAudacityに取込み、周波数分析する際は、ハイレコのサンプリングレートと合わせるために192khzにリサンプリングを行い周波数分析します。
  • 関数窓:hanning 大きさ:65536ポイント 解析時間:先頭から54.6秒
  • 夫々の周波数分析したスペクトルデータをテキストファイルで書出した後、Excelでグラフ化します。

以下に、楽曲のエンベロープを示します。

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スペクトル全体

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リマスタリングの違いか?CDは、4Khz付近よりレベルが盛り上がっています。

2khz〜4khzスペクトル

スペクトルパターンは略一致している。

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4khz〜6khzスペクトル

赤丸で囲われた部分が、パターンのミスマッチが現れている箇所を示します。

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6khz〜12khzスペクトル(2khz幅)

赤丸で囲われた部分が、パターンのミスマッチが現れている箇所を示します。

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6K〜8Khz スペクトル比較

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8K〜10Khz スペクトル比較

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10K〜12Khz スペクトル比較


CDとハイレコの音源レベル相関図

3hz〜11Khzの範囲でレベル相関を調べてみました。
このCD音源は、アナログのリマスタリング時にコンプレッサーを使用しているのかも知れません。

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ハイ・レコとCDの音質比較 まとめ

ポイント

夫々の音源は、マスタリングによりレベルの差は生じるも、同じ音源ソースであれば略スペクトルパターンは一致する筈と考えました。 ところが、今回のスペクトルパターン詳細比較の結果によれば、ハイレコ音源を正とすると、CD音源は、4Khz以上から、レベル差は無視してスペクトルパターンの差異が生じていることが判りました。

このことは、CD音源でのストリングスに聴感上の違和感を感じたことと符合している様に思います。

この4Khz以上のスペクトルパターンの差異の原因がどこから生じるものかは浅学菲才のため不明ですが、敢えて推定するなら、CD音源のスペクトルパターンズレが、CDフォーマットによる本質的誤差より大きいので、他の要因のウエイトが高く、CD作成時のアナログリマスタリング加工(コンプ使用等)の何らかの影響によりスペクトルパターン差異(=歪)が生じている可能性が高いように思われます。

 

以上、ストラヴィンスキー”春の祭典” ハイ・レコとCDの音質比較でした。

 

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