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チャイコフスキー”悲愴” ハイ・レコとCDの音質比較

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カラヤン指揮・チャイコフスキー「悲愴」イエス・キリスト教会での1964年録音のLPレコードからのハイレコ録音とCDとの音質比較を試みました。 今回は、評価指標として、相関係数を追加してみました。 また、評価に使用したLPレコードからのハイレコ音源は、興味がある方は、ダウンロードしてみてください。

 

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LPレコードとCDについて

❏ LPレコードについて

チャイコフスキーの悲愴は、一般的には、ムラヴィンスキー指揮が秀逸です。保有しているメディアは、このムラビンスキーのCDとカラヤン指揮 1964年録音のLPレコードです。  ムラビンスキーのCDを再生してみますと、演奏は、確かに力強くロシアの雰囲気も醸し出し非常に良いのですが、ストリングスの音については、どうにも違和感を覚えます。

一方、LPレコードのカラヤン指揮の「悲愴」1964年録音盤の演奏は、3楽章のシンバルの出遅れ等、演奏評価はイマイチの感ですが、LPレコードのカラヤンを再生してみますと、ムラビンスキーのCDよりもストリングスの音が自然で満足できる再生音でした。 また、演奏についても年齢的にも若々しくメリハリのある演奏と思いまた。

❏ 比較CDについて

今回、ハイレコと比較するCDは、「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~」のflacデータベースにあった、同年録音のカラヤン指揮「悲愴」です。 「Blue Sky Label」サイトの管理人様からのご厚意でCDフォーマット(Flac)をダウンロードし今回の評価に使わさせて頂きました。 ご存知の様に「Blue Sky Label」は、パブリックドメインの音源を公開されて、造詣の深いコメントやコンテンツも充実していています。 もし、クラシックファンでご存知なければ、是非そのサイトを訪問されることをお勧めします。

 

LPレコードのハイ・レコとCD音質 聴感評価

  • ハイレコ音源は、カートリッジはShureV15 markⅢを使用し、VinylStudioで録音したものを24Bit、192khzでflac化した録音ソース(−3dbノーマライズ、プチノイズ抑制処理済)です。
  • CD音源は、前述しました「Blue Sky Label」からダウンロードした、16bit、44.1KhzのFlacファイルです。

両者のファイルを、HAP-Z1ESに取込み、特に第3楽章と第4楽章のストリングス部をフォーカスポイントにして聴感評価しました。

❏ 第3楽章の評価


出だしの約5分位からのストリングスのトゥッティ部分について着目。 両音源とも略同じ音質に聞こえました。

第3楽章のハイレゾ音源のダウンロード
(FLAC 192Khz 24bit : 312 MiB, 8分 42秒)
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ハイレゾ音源からエンコードした
mp3で聞いてみる

 

❏ 第4楽章の評価


出だしの約3分位からのストリングスのトゥッティ部分について着目。 ハイレコ音源の方が若干高域が下がっているように思われましたが、ストリングスに刺々しさが無く自然に聞こえました。 一方CD音源の方が、低域の締りがあるように聞こえました。

第4楽章のハイレゾ音源のダウンロード
(FLAC 192Khz 24bit)
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ハイレゾ音源からエンコードした
mp3で聞いてみる

<第4楽章のエンベロープ波形>
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ハイ・レコ音源とCD音源の周波数分析

❏ 周波数分析条件

  • Audacityに両者のファイルを取込、周波数分析します。
  • CD音源:周波数分析する際は、ハイレコのサンプリングレートと合わせるために192khzにリサンプリングを行い周波数分析します。
  • 関数窓:hanning 大きさ:65536ポイント
  • 夫々の周波数分析したスペクトルデータをテキストファイルで書出した後、Excelでグラフ化等を解析します。 相関係数の計算は、CORREL(コリレーション)関数を使いました。
  • 第3楽章の周波数分析の対象パート:4分57秒〜50秒間
  • 第4楽章の周波数分析の対象パート:3分38秒〜28秒間

 

❏ スペクトル比較

 <第3楽章 スペクトル>(左グラフ) <第4楽章 スペクトル>(右グラフ)

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❏ 100hz〜20Khzの振幅(音圧)レベル分布

  <第3楽章 レベル分布>(左グラフ)<第4楽章 レベル分布>(右グラフ)

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100hz〜20Khzの振幅(音圧)レベルの相関係数は、第3楽章、第4楽章とも0.99以上で非常に強い相関があり、CD音源とハイレコ音源は、「ほぼ完全な相関」があると言えます。

 

オペレータ
オペレータ
次に、周波数帯域ごとの相関係数を調べたのが以下です。

 

周波数帯域毎の相関係数

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  • 第3楽章と第4楽章とも、13Khz以上で、CD音源とハイレコ音源の相関が弱くなる傾向にあることが判ります。
  • 第3楽章と第4楽章の周波数帯域毎の相関係数を比較しますと、第4楽章は、13Khz〜14Khzで相関係数の値が低くなっています。
  • そこで、13Khz〜14Khzに着目してスペクトルとレベル分布の違いを調べてみました。

13Khz〜14Khzのスペクトルとレベル分布比較

 

❏ 第3楽章(相関係数:0.71)

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❏ 第4楽章(相関係数:0.58)

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13Khz〜14Khz帯域のスペクトル波形と分布図について

  • スペクトル比較の赤丸のエリアで、第4楽章の方が、スペクトル形状の多くに差異が見られます。
  • 散布図では、第4楽章のバラツキのセンターが、45度ライン(相関一致)より外れているのが判ります。
  • また、回帰直線(黒線)の傾斜を見ると、第4楽章の方が45度ライン(赤線)の角度より大きく外れています。
  • 以上から、第4楽章の方が、CD音源とハイレコ音源の相関が弱いことが判ります。 このことは、相関係数の値が、良く表されていると思います。

 

ま と め

LP-ハイレコ音源とCD音源 比較まとめ

ストリングスの聴感評価 相関係数 考察
第3楽章 CD音源、ハイレコ音源とも、ストリングスの音色は、ほぼ同等に感じました。 13Khz〜14Khz
0.71(強い相関がある)でした。
相関係数が0.7〜0.9(強い相関がある)のレンジ以上では、聴感上の音源の差異を感じない範囲かもしれません。
第4楽章 CD音源、ハイレコ音源の音色に差異があり、ハイレコ音源の方が若干自然感があるように感じました。 13Khz〜14Khz
0.58(相関がある)でした。
相関係数が0.4〜0.7(相関がある)のレンジ以下では、聴感上の音源の差異を感じる範囲かもしれません。

相関係数による評価が、「CD音質に違和感」を与えることの検証ツルーとなる得るか?今後、比較検証を行って行きたいと思います。

最後に、CD音源を使用させて頂いた「Blue Sky Label」サイトの管理者様へ、このブログを通してお礼申し上げます。

 

 

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