ハイレゾ収録したレコードは、1960年録音(64年前の録音) ジャナンドレア・ガヴァッツェーニが指揮したヴェルディのオペラ「仮面舞踏会」です。
このレコードは、ドイツ・グラモフォンによるミラノ・スカラ座シリーズの一つで前回のドン・カルロに引き続きハイレゾ収録しました。
今回ハイレゾ収録したレコードは、【3枚組(side1〜6)】です。
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「仮面舞踏会」の主な粗筋と史実
ヴェルディのオペラ「仮面舞踏会」(Un ballo in maschera)は、もともと18世紀のスウェーデンを舞台にしています。具体的には、スウェーデン王グスタフ3世が1792年に仮面舞踏会で暗殺された史実に基づいています。しかし、オペラの制作過程で様々な政治的・検閲の問題が発生し、最終的に舞台を17世紀後半の北アメリカ、ボストンに変更することになりました。
**主な登場人物と史実**
- リッカルド:スウェーデン王グスタフ3世に相当
- レナート:アンカーストレム伯爵に相当:Wikipediaによると、「暗殺事件の結末は、アンカーストレム伯爵がグスタフ3世 暗殺の主犯で、地所と貴族の特権を剥奪された後、死刑を宣告された。3日間の鞭打ちを受けた後、右手を切断された上で市中を引き回された後、公開斬首刑とされた。」とのこと、史実を辿ると残酷極まりないですね!
- アメーリア:アンカーストレム伯爵夫人に相当
**あらすじ**
- 第1幕:
リッカルドの愛と義務の葛藤、アメーリアの秘められた恋心、そして陰謀の兆しが描かれます。リッカルドの運命が不穏な予感に包まれ、物語は次第に緊張感を増していきます。 - 第2幕:
リッカルドとアメーリアの愛が明らかになり、レナートの誤解と怒りが生じます。陰謀者たちの脅威が迫り、リッカルドの運命はますます危険なものとなります。 - 第3幕:
レナートの怒りと復讐心が頂点に達し、リッカルドの暗殺という悲劇が描かれます。リッカルドは最後まで高潔さを保ち、アメーリアの無実を証明することで物語は終わります。この幕は愛と誤解、そして許しのテーマが強調され、オペラ全体のクライマックスとなります。
「仮面舞踏会」レコードのクレジット
この「仮面舞踏会」のレコードは、全曲3枚組(side1〜6)で構成され、演奏時間は約2時間です。
ジュゼッペ・ヴェルディ (1813-1901)
仮面舞踏会オペラ全3幕
台本:アントニオ・ソンマ
<主な配役>
リッカルド(ボストン総督):ジャンニ・ポッジ(テノール)
レナート(リッカルドの親友):エットーレ・バスティアーニ(バリトン)
アメーリア(レナートの妻):アントニエッタ・ステッラ(スピント・ソプラノ)
ウルリカ(占い師):アドリアーナ・ラッツァリーニ(メゾソプラノ)
オスカル(リッカルドの小姓):ジュリアーナ・タヴォラッチーニ(ソプラノ)
サムエル(陰謀者・暗殺者):アントニオ・カッシネッリ (バス)
トム(陰謀者・暗殺者):シルヴィオ・マイオニカ(バス)
スカラ座合唱団・管弦楽団
合唱指揮者 ノルベルト・モラ
指揮者 ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ
協力:スカラ座自治政府
ハイレゾ収録の実際
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1 ハイレゾ収録に当たって
以下の内容で収録しました。
- 使用カートリッジ:DENON DL-103R 針圧:2.5gr
- 使用A/D変換:フルテック-GT40α
- 収録アプリ:VinylstudioでFLACフォーマット 96khz 24bit で収録
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2 Vinylstudio:Cleanup処理
収録後、Vinylstudioの「Cleanup」タグを開いて、以下の処理を行いました。
- 低域ノイズ抑制処理:Rumble フィルターを「ON」
- 音量の最適化処理:Normalizeを「 -3db」で設定
- クリック抑制処理を実行。 クリック処理数の結果は、以下の通りで、Side3が若干多く1347個ありましたが全体的には1000個以下で、盤面の汚れ具合は良好と思われます。
クリック抑制状況(default設定のまま) | |||
レコード面:side | クリック処理数 | レコード面:side | クリック処理数 |
side1 | 636 | side4 | 798 |
side2 | 687 | side5 | 931 |
side3 | 1347 | side6 | 991 |
Cleanup処理等は、「Vinylstudio録音手順」を参照してください。
以上の処理を行った後、盤面(side1〜6)の分割処理します。 それぞれのトラックをFlac(24bit 96khz)フォーマットで書出してハイレゾ収録の完成です。
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3 ハイレゾ音源のAAC変換
『「仮面舞踏会」の全曲を聴く』のAAC音源は、ハイレゾ flac音源をFFmpegのaac_at エンコーダでネットのトラフィックを考慮して160kbpsのAACで変換しています。
本来はハイレゾ24bitをAAC変換するので歪率の観点から24bit入力のnative AACエンコーダを選択すべきですが160kbpsにすると劣化量が悪化します。 そこで、16bit入力ですがながら劣化量が良好な aac at エンコーダを選びました。
AAC変換はMaxOSのターミナルを開いて、以下のコマンドラインでAACに変換しています。
command ffmpeg -i "変換元ファイル.flac" -acodec aac_at -c:v copy -ar 48000 -ab 160k "変換後のファイル名.m4a"
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4 オリジナルのFlacファイルとAACファイルとの音質差を調べる
side1のオリジナル FlacファイルとAACファイルの音質差を絶対誤差で調べてみました。
簡単な手順
- ハイレゾと比較するため、aac_atファイルはサンプルレートを合わせる必要があります。 side1のaac_atファイルをAudio to WAVE 96K Droplet.appにドロップして、96khzにアップサンプリングしたwavファイルに変換しておきます。
- Audacityを開き、side1のハイレゾ flacファイルとアップサンプリングしたside1のaac_atファイルをドロップして
- Audacityの「解析」 > 「スペクトルの表示」から、夫夫のファイルの周波数分析を行い 解析された(周波数) vs (dbレベル)のデータを text ファイルとして書き出します。
- 夫夫の解析した text ファイル(データ)を numbersアプリにペーストして、周波数に対するdbデータの差分から絶対誤差を求めます。
AACファイル等を必要とするサンプリングレートにwavとしてデコード(変換)するツール群です。 このツールは、Apple Digital Mastersの紹介記事からダウンロードできます。 関連記事:ここをクリック
オリジナルとAACファイルとの音質差