HAP-Z1ESのDSEEとDSDリマスタリングエンジンの効果検証

投稿日:2017年12月11日 更新日:

SONY HDDオーディオプレーヤHAP-Z1ESの特長に、DSEEとDSDリマスタリングエンジンという機能があります。 DSEEは、CDや圧縮音源(MP3やAACetc)に対して、高域補完やビット拡張を行い、更にDSDリマスタリングエンジンで、DSD信号に変換し高音質化するというものです。

この機能は、ON/OFFできますが、聴感上では、殆どその差が感じられれず、今更ですが、本当にそれらが機能しているか?不安でしたので、スペクトル解析で可視化して効果を検証してみることにしました。
機能を検証する音源は、以前ブログで使用した、高域成分が多く存在しているカラヤン指揮・ストラヴィンスキーの春の祭典の中から、いけにえの踊りの一節にしました。

 

 

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DSEEとDSDリマスタリングエンジンについて

❏ HAP-Z1ESのDSEE(デジタル・サウンド・エンハンスメント・エンジン)

出典先:SONYのカタログ抜粋
ハイレゾ音源の多くは、非圧縮のリニアPCMやロスレス圧縮など、さまざまなかたちで配信されています。さらに普及率の高いMP3やAACなどの不可逆圧縮音源など、デジタルデータで提供される音楽データは多種多様です。HAP-Z1ESでは、そうした数多くのデジタル音源データを高音質で再生するため、高音質技術「DSEE」を搭載。MP3やAACなどの不可逆圧縮音源に対しては、圧縮によって失われがちな高音域を20kHzまで周波数補完します。また、すべての非可逆圧縮音源とリニアPCM音源やロスレス音源に対して、40bit浮動小数点で演算を行い、ノイズシェーピング処理により32bit固定小数点に変換してDA変換器に伝送することで、通常の32bit精度を遥かに超えた精度の高いビット拡張を実現します(*)。これらにより、ハイレゾ音源はもちろん、あらゆるデジタル音源データの微小領域の信号を復元し、より原音に近い自然で表現力豊かなサウンドを楽しめます。

<この上のカタログに対して、効果を検証するポイントは、>
このDSEE機能をONした時、本当に上図の様に高域補完されているか、スペクトル解析で検証してみます。

 

❏ HAP-Z1ESのDSDリマスタリングエンジン

出典先:SONYのカタログ抜粋
あらゆる形式の音楽データを5.6MHz相当のDSD信号に変換する「DSDリマスタリングエンジン」を搭載。高性能なDSPとソニーが独自に開発したオーディオICで構成された変換エンジンには、ダイレクト8倍オーバーサンプリングやノイズシェイピング技術など、録音スタジオなどで使われる業務用機の開発で培った技術を盛り込みました。これにより、さまざまな楽曲データも、元のデータの情報量を損なわずより高精度なD/A変換ができます。DSDリマスタリングエンジンはON/OFFが可能(*)ですので、音質のお好みによって切り替えてお使いいただけます。

<この上のカタログに対して、効果を検証するポイントは、>
このDSDリマスタリングエンジンをONした時、DSDの特徴である、ノイズシェーピングによるノイズが有るかスペクトル解析で確認してみます。

機能のON/OFF操作について

HAP-Z1ES本体からこの機能のON/OFFは可能ですが、実際には、スマフォなどで簡単にON/OFFが、リモートコントロールできます。

この写真は、IPadで「HDD Audio Remote」アプリを起動している写真です。

左の写真をクリックして拡大して頂き、オプションで[ DSEE Auto> ]、及び[ DSDマスタリングのスライド ]のところを操作すると、夫々の機能のON/OFFが設定できます。

DSEEのAutoの意味は、自動的にハイレゾ音源源か否かを判別して、ハイレゾでなけれな、DSEEをONにするものの様です。

 

 

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検 証 手 順

1.用意する音源(ハイレゾ音源とエンコードしたMP3音源)

ハイレゾ音源:LPレコードのハルサイ192khz 24bitのFlacでハイレゾ録音したもの。

ハイレコ音源(ハイレゾ)のダウンロードは、ここをクリック (FLAC 192Khz 24bit : 59MiB)

MP3音源:ハイレゾ録音したファイルからVinylStudioでエンコードした、128kbpsのMP3音源です。 効果を分かり易くするため、圧縮率の高い128kbpsにしまた。 試聴する時は、プレーヤの矢印を押して再生します。

 

2.夫々の音源をHAP-Z1ESに取込みます

高音質化機能をONした場合とOFFした場合の夫々をHAP-Z1ESで再生しながら、VinylStudioでハイレゾ録音(192khz 24bit)します。

3,HAP-Z1ESの高音質化機能の効果検証を行います

ハイレゾ録音したファイルをAudacityで、周波数解析し、解析データをTEXTで書出しExcelでグラフ化しHAP-Z1ESの高音質化機能の効果検証を行います。

 

では、効果を検証して行きます

 DSEE機能の効果検証

1.MP3音源がDSEE機能ON/OFFでスペクトルがどの様に変化するか? 下のグラフを見てください。

  • ブルーのラインが、HAP-Z1ESの高音質化機能OFFでのMP3再生スペクトルを示しています。 このグラフでで判ることは、15khz付近で高域が急激に減衰しています。 これは、128kbpsのMP3の高域再生限界が15khzであるためです。(MP3の高域再生限界については、「ハイレゾ音源をエンコードするならMP3かAACか」を参照してください)
  • 一方、ブラウンのラインが、HAP-Z1ESの高音質化機能ONでのMP3再生スペクトルを示しています。 確かにsonyのカタログで示されている様に機能OFF(ブルーのライン)での高域減成分衰量が機能ON(ブラウンのライン)で20khzまで補完されいることが判ります。 つまりHAP-Z1ESの高音質化機能ONで高域補完が認められます。
  • 赤のラインは、夫々の差(=誤差)を示しています。

2.MP3音源がHAP-Z1ESのDSEE機能ONでハイレゾ音源に近似するか? 比較したのが下のグラフです。

  • ブルーのラインが、ハイレゾ音源のスペクトルを示しています。 一方、ブラウンのラインが、機能ONでのMP3再生スペクトルを示しています。
  • 理想は、両者のラインが一致すれば、高域補完が完全に復元されているということになりますが、機能ONでのMP3再生は、ハイレゾと比較して、約-6db程度の高域補完の不足がありました。

(注記)

  • 上記スペクトルのグラフについて、スペクトルを見やすくすため、1khz幅で音圧レベルを平均化しています。
  • 周波数分析条件:楽曲先頭から、54.6秒間 関数窓:hanning 大きさ:65536ポイント

 

DSDリマスタリングエンジンの効果検証

下のグラフは、MP3音源がDSDリマスタリングエンジン機能をONにした時のスペクトルです。 DSEE機能もONにしていますので、20khz付近まで高域補完されています。

このグラフで、DSDの特徴である40khz以上でノイズシェーピングが認められますので、DSDリマスタリングエンジン機能が働いていることが判ります。 この機能をOFFすると、当然ながらノイズシェーピングは、無くなります。

(注記)上記スペクトルは、VinylStudioで撮ったものです。

 

効果検証のマトメと機能設定の考え方

  • HAP-Z2ESのDSEE機能の効果は、確かに高域補完されいることが確認できました。 但し、ビット拡張の有無は不明です。 2018/6/5追記:「高域補完されいる」という表現は、DSEEで倍音成分が補完されていると言えないので「見掛け上高域補完されている」に訂正します。 詳しくは、当ブログ記事「sony HAP-Z1ES「DSEE」の真実」をご参照ください。

 

  • DSDリマスタリングエンジン機能の効果は、ノイズシェーピングの痕跡が確認できましたので、確かにDSDに変換されているものと思われます。

 

  • DSEE機能は、ハイレゾ音源はスルーし、ハイレゾ以外の音源は、DSEEがONして、高域補完するので、Autoで設定すのが望ましいと思われます。 2018/6/5追記:DSEE設定に関しても「sony HAP-Z1ES「DSEE」の真実」をご参照ください。

 

  • DSDリマスタリングエンジン機能は、40khz以上でノイズシェーピングが低レベルながら出力されているので、混変調の可能性や精神衛生上の面から、この機能は、OFFで設定して行こうと思います。

 

  • 今回の効果検証の音源ソースは高域成分の多いハルサイの一節を使用しましたが、今後、機会があれば、高域成分の少ないソースでDSEE機能の効果がどうなるか?調べて見たいと思います。

 

  • 総じて、聴感上では、機能ON/OFFに関わらず、当然ながらオリジナルのハイレゾ音源の音質がやはりMP3より上位であると思いました。

 


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