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Apple Digital MastersのAAC音質を検証 ― 実際に購入して比較してみた(その1)

Appleが提唱する「Apple Digital Masters」は、iTunesやApple Musicで配信される楽曲を、スタジオ音源に近い高品質のままAACフォーマットで届けることを目的とした技術です。 2019年7月公開の「Apple Digital Masters テクノロジー概要によれば、従来よりも高いクオリティで配信できるとされています。

そこで今回は、e-onkyoで購入したハイレゾ音源(96kHz/24bit FLAC)を基準に、Apple Digital MastersのAAC音源をダウンロード購入し、スペクトル分析と試聴比較を通してApple Digital Mastersの音質レベルを検証します

注記: 「e-onkyo music」は、2024年10月16日の正午に20年近い歴史に幕を下ろし、「Qobuz(コバズ)」に統合されました。

 

Apple Digital Mastersとは?特徴と仕組み

Apple Digital MastersでエンコードされたAAC256kbps音源は、マスターで作られた24ビットのオリジナル音源とほとんど区別がつかないクオリティになると述べています。

詳細は、2019年7月付けの「Apple Digital Masters テクノロジー概要」やApple Digital Mastersの紹介記事を見て頂くとして、Apple Digital Mastersテクノロジーによるハイレゾ・マスターファイルからApple Digital Masters AAC音源が配信されるまでのプロセス(概略)は以下の通りです。 尚、Apple Digital Masters AAC音源の配信は、特にクラシックジャンルにおいては未だ多くないのが実情です。

 

ハイレゾマスターファイル
Wavフォーマット【ビット深度24bit、ハイサンプリング(96khz)】

Apple Digital Masters AACエンコードプロセス


【ダウンサンプリング処理】

最先端のマスタリング品質サンプルレートコンバータ(SRC)を 使って
44.1khzに最適にダウンサンプリング


【エンコード処理】

ディザリング無しで
ビット深度を24bitに維持して256kbpsのAACへエンコード

Apple MusicやiTunesのカスタマーへ配信

つまり、Apple Digital Masters AACエンコードプロセスは、最高レベルの音質でAACフォーマットを得るために、まず最適にダウンサンプリング(44.1kHz)し、その後、ディザリングを行わず(量子化誤差対策のノイズ付加を行わず)ビット深度24bitを維持したまま256kbpsのAACへエンコードする技術ということですね。

参考記事ハイレゾ音源をMP3(AAC)にするなら、ビット深度を24bitに指定してエンコードすべき?

MP3(AAC)にエンコードできるフリーソフト(アプリ)は色々ありますがビット深度を明示的に指定できるものが殆ど無く、調べた中では唯一Windows版のfoober2000が指定できることが分かりまし ...

 

【参考】ローカル PCでApple Digital Mastersを試す

ローカル macPCで、Apple Digital Mastersドロップレットツールを使えば、保有しているハイレゾ音源をApple Digital Mastersに簡単に変換できます‼️

Apple Digital Mastersの紹介記事に記載されている「Apple Digital Mastersドロップレット」をダウンロードし、その中のApple DIgital Masters Droplet.appに、AACに変換したいハイレゾ音源(24bit/96kHzのWAVまたはAIFFファイル)をドラッグアンドドロップすると、同一フォルダー内にApple Digital MastersのテクノロジーでエンコードされたAACファイルが生成されます。(チュートリアル動画 参照)

Apple Digital Mastersドロップレット

備考:ドロップレットを使わなくても、Mac OS X のターミナルからコマンドライ ンで操作できます。 詳しくは、「Apple Digital Masters テクノロジー概要」をご覧ください。

 

チュートリアル動画

Apple DIgital Masters Droplet.appへAACに変換したいハイレゾ音源(24bit/96khzWave又はAIFFファイル)をドロップすると、同じフォルダー内にApple Digital MastersのテクノロジーでエンコードされたAACファイルが自動で生成されます。

 

評価する基準音源とApple Digital Masters音源について

Apple Digital MastersのAAC音質評価にあたり、以下の2つの音源を購入しました。

  1. 基準音源用として、1962年録音のカラヤン指揮によるベートーヴェン「交響曲 第8番 第2楽章」を、e-onkyoよりハイレゾ音源(96kHz/24bit FLAC)を購入
  2. 1962年録音のカラヤン盤(同一音源)のApple Digital Masters・AAC音源をiTunesより購入
e-onkyoハイレゾ音源は、本ブログ「ハイレゾ、CD及びLPレコードのトリプル音源・音質比較」でも使用しております。

 

Apple AAC音源・諸元

iTunesから購入したファイル名:
4-06 交響曲 第8番 へ長調 作品93_ 第2楽章_ Allegretto scherzando (SACD Stereo).m4a

フォーマット : AAC LC

基準音源(e-onkyo)・諸元

e-onkyoから購入したファイル名:
ベートーヴェン 交響曲全集_31_Beethoven Symphony No.8 In F, Op.93 - 2. Allegretto scherzando[SACD Stereo].flac

フォーマット : FLAC

 

スペクトル分析によるAAC音質の比較

注意ポイント

評価する音源が異なるフォーマット(FLACAAC)では、夫々をデコードする際に音質差が生じる可能性が懸念されます。 そこで、Apple Digital Mastersでは、Audio to WAVE 44.1k,48k,96K Dropletツール」が用意されていて、異なるフォーマットの音源をWavフォーマットに統一することでApple Digital MastersAAC音源含め正確な評価ができるとされています。

そこで、今回のe-onkyoハイレゾFLAC音源とApple AAC音源の評価に当たり、1)Dropletツールを使わずオリジナルフォーマットのままで比較する場合2)Dropletツールを使った場合の2通りで評価することにしました。

 

音源の全体波形

 

スペクトル比較−1:オリジナル音源ファイルでの比較

e-onkyoハイレゾ音源とApple AAC音源をオリジナルファイルのままAudacityに取り込み周波数分析(スペクトル)を行います。 周波数分析の条件は以下の通りで、分析した後分析データをテキストファイルに書き出してEXCELにてグラフ化し比較を行います。

周波数分析の条件】

  • 関数窓:hanning 大きさ:16384ポイント
  • 解析対象パート:36秒を始点として、30秒間を選択します。(前記、全体波形のハイライト部分)
  • 周波数分析データをテキストファイルに書出しExcelを使用しデータ解析します。

スペクトルの詳細を分かり易くするため、e-onkyoハイレゾ音源をAApple AAC音源をBとして、その差分(A-B)dbを下に示します。

ポイント

オリジナル音源の場合、差分(A-B)dbグラフで分かることは、絶対値で最大2.5dbの誤差がありました。 この誤差はAudacityのデコード性能に因っている可能性があります。 このデコード差を排除するために、DropletツールでWaveファイルに夫々を統一してスペクトルを比較してみたのが下記になります。

 

スペクトル比較−2:DropletツールでWavファイルに統一して比較する

スペクトル比較の手順

step
1
各々ファイルをWavファイルにデコードする手順

正確なスペクトル比較を行うために、フォーマットに対するデコーダーの差を無くす必要があります。 そのために、e-onkyoハイレゾ音源のFLACApple AACを、Appleから提供されているAudio to WAVE 96K Droplet.appツールを使ってWavファイルに統一します。

Apple Digital Mastersドロップレット」は、Apple Digital Mastersの紹介ページのマスタリングツールの中のリンクからMacbookにダウンロードします。 

4つのドロップレットで構成されていて、96khz 24bit Wavファイルにデコードするには、Audio to WAVE 96K Droplet.appを使います。 

夫々のファイルをAudio to WAVE 96K Droplet.appにドロップして96khz 24bitのWavファイルに変換します。

step
2
Wavファイルを周波数分析します

夫々の音源Wavファイル(96khz 24bit)をAudacityに取り込み周波数分析(スペクトル)を行います。 周波数分析の条件は以下の通りで、分析した後分析データをテキストファイルに書き出してEXCELにてグラフ化し比較を行います。

周波数分析の条件】

  • 関数窓:hanning 大きさ:16384ポイント
  • 解析対象パート:36秒を始点として、30秒間を選択します。(前記、全体波形のハイライト部分)
  • 周波数分析データをテキストファイルに書出しExcelを使用しデータ解析します。

ポイント

夫々のスペクトルは22khz付近までほぼ一致していて、ナイキスト周波数(22.1khz)以上からApple AAC音源はカットされているのが分かります。 スペクトルの詳細を分かり易くするため、e-onkyoハイレゾ音源をAApple AAC音源をBとして、その差分(A-B)dbを下に示します。

下の(A-B)dbグラフで分かる様に、2khz付近までの誤差は殆ど無く、最大でも誤差は0.5db程度に収まっていました。 この程度の誤差であれば、聴感上判別出来ないレベルと推察します。 ナイキスト周波数に向かって徐々に誤差が大きくなる傾向は、サンプリング数の減少による影響ではないかと思われます。

差分スペクトル

 

実際の試聴で感じた音質の違い

注意ポイント

比較する音源が異なるフォーマット(FLAC、AAC)なので、前記スペクトル比較と同じ様にフォーマットに対するデコードの影響を配慮して、我が家のB級ステレオ以下の2通り試聴比較を行いました。

〜〜〜〜

  1. オリジナル音源をSony HAP-Z1ESに取り込んで試聴
  2. フォーマットに対するデコードの影響を無くすためにオリジナル音源を一旦Dropletツールを使ってでWavに変換後、HAP-Z1ESに取り込んで試聴

 

試聴比較−1:オリジナル音源ファイルでの比較

ポイント

e-onkyoハイレゾ音源とApple AAC音源をオリジナルファイルのままSony HAP-Z1ES(HDDプレーヤ)に取り込んで我が家のB級オーディオで試聴比較しました。

試聴結果:
e-onkyoハイレゾ音源とApple AAC音源の音質の差は殆ど感じれれませんでしたが、僅かにe-onkyoハイレゾ音源の方がストリングスのディーテイルと深みを感じました。(HAP-Z1ESのデコーダ差かプラセボ効果かもしれません)

 

試聴比較−2:DropletツールでWavファイルに統一して比較する

ポイント

異なるフォーマット(AAC、FLAC)をHAP-Z1ESで再生(デコード)した時の音質差を排除させるために、夫々のオリジナル音源(AAC、FLAC)をDropletツールを使って24bit/96khzののWavに統一したファイルをHAP-Z1ES(HDDプレーヤ)に取り込んで我が家のB級オーディオで再生した場合の音質比較を行いました。

(注記:Apple AAC音源は44.1khzでダウンサンプリングされていますので、本来はAudio to WAVE 44.1K Droplet.appを使ったほうがファイルサイズ約半分になりますのでベターです。)

試聴結果:
DropletツールでWavに変換したファイルをHAP-Z1ESに取り込み再生した場合、双方のファイルの再生音質は全く区別がつきませんでした。 また、その音質はe-onkyoハイレゾFLAC音源と同じ音質に感じました。

 

まとめ:Apple Digital Masters AAC音質の評価

  1. スペクトル比較−2、試聴比較−2の結果から、 Apple Digital Mastersに適応したエンコーダーであれば、Apple Digital MastersによるAAC音源は、AACのビットレートから来る再生上限周波数で若干劣るものの、元のハイレゾ音源と略同等の音質が得られるものと思われます。(iPhoneでApple Musicストリーミングを再生する場合、iPhone設定からミュージック>モバイルデータ通信>高音質ストリーミングをONにします。)
  2. Apple Digital MastersによるAAC音源の音質に不満があれば、デコーダーがApple Digital Mastersに適合していないかも知れません。 そこで一手間かけて「Audio to WAVE 44.1K Droplet.appツール」を使って24bit/44.1khzのWavフォーマットに変換すれば、サンプリング周波数はダウンサンプリングされているので、若干見劣りしますが、ビット深度が24bitのハイレゾ音源ファイルで再生できます。(24bit/44.1khzのWavは、JEITAでのハイレゾ定義に含まれます) 一度お試し頂ければと思います。

今後、Apple Digital MastersによるAAC音質を、ピュアー音源やレコードのハイレゾ化音源などで深堀り評価を行ってみたいとと思います。

 

以上、Apple Digital MastersのAAC音質(その1)でした。 オーソドックスながらもAppleの地道な音質向上の取組を評価したいと思います。

 

「その2:ピュアー音源による評価」へ続くここをクリック

 

関連リンク:5つの視点で比較したAAC変換アプリランキング

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