
「LosslessCut アプリ」を使用してメディアファイルを分割したところ、当PC環境の影響か、またはアプリが開発途上であるためか、一部挙動にクセ(バグ?)があることが分かりました。 使用したバージョンは 3.64.0 です。
しかし、多少の問題を理解した上で使いこなせば、音源や映像を無劣化のまま高速で分割でき、優れたGUIも備えているため、非常に有用なアプリだと感じました。 今後のアップデートに期待しています。
今回は、このアプリの使いこなし(要点)を紹介します。
LosslessCut アプリのインストール
LosslessCut アプリは Windows, macOS, Linux で利用可能です。 下記の公式GitHub URLを開いて、ページの下方に移動して、「If you prefer to download the executables manually, this will of course always be free (see also supported operating systems):」 と表記行の下にあるOS(リンクをクリック)から無料版アプリをダウンロードしてインストールします。
公式GitHub URL:
https://github.com/mifi/lossless-cut?tab=readme-ov-file
なお、寄付を目的にしたAppストアやMicrosoftストアから有料版アプリとしてダウンロードすることもできます。
ファイル分割の基本的使い方
日本語化や出力ファイル先などは予め「設定」から行っておきます。
下に示すLosslessCut アプリの編集画面に、赤文字でボタン名を追記しています。 このボタン機能を中心に説明します。
- 分割したいファイルを編集画面へドラッグ・アンド・ドロップします。
- 「分割」ボタン:分割する場所にカーソルを移動して、「分割」ボタンを押すと、セグメントが分割されます。(分割セグメント表示エリアに分割ステータスが表示されます)
- 「キーフレーム移動」ボタン:例えば、macOSのiMovie等で分割したいビデオの先頭にタイトルを付けると、タイトルの前後にキーフレームが付与されます。 このビデオファイルで、分割したいタイトル場所を探すには、「キーフレーム移動」ボタンを押すとカーソルがキーフレームの場所まで自動で移動できます。 目的の場所に来たら「分割」ボタンを押します。
- 分割セグメント表示エリア:分割されると、セグメントの長さ等のステータスが表示されます。 また、セグメントを削除したい時は、当該セグメントをクリック(選択)してマイナス(ー)ボタンを押すと削除できます。
- 「前方又は後方カット」ボタン:カーソルの位置で「前方カット」ボタンを押すと、前方にあるセグメントまでを削除し、「後方カット」ボタンを押すと後方にあるセグメントまでを削除します。 つまり、セグメントの部分カットが行えます。
- 分割編集が終わったら、「出力」ボタンを押します。
LosslessCut アプリの問題項目と使いこなし要点
audioファイルの場合
- FLACファイルの分割:サムネイルやメタ情報が引継がれ問題無く分割が出来る。
- mp3ファイルの分割:サムネイルが付くとはエラーになり分割できない。 サムネイルを外せば問題無く分割出来る。
- AAC(m4a)ファイルの分割:サムネイルが付くとセグメント長さが反映されない。 サムネイルを外せば正しいセグメント長さで分割出来る。
別の対処方法として、サムネイル付きでAACファイルを分割した後、ffmpegの下のコマンドラインを実行すれば、正しいセグメント長さに修復が可能
ffmpeg -i "input.m4a" -map 0 -c copy "outputm4a"
videoファイルの場合
LosslessCut アプリのvideo分割は、キーフレームに依存しているために、思わぬ所でファイル分割されて出力されてしまいます。 また、キーフレームで分割しても位置がずれて出力されてしまうことがあります。
対応法として、他にもっと良い方法があるかも知れませんが、色々試した結果、キーフレーム位置に「分割」ボタンで分割した後、この分割ポイントを中心にに「前方又は後方カット」ボタンを使ってキーフレーム分割の前後に0.5秒程度の余白(カット)を与えて出力するとほぼ正しくvideoファイルが分割出来ました。
iMovieでは、一括で複数ファイル分割は出来ませんが、このアプリを使えば一括でvideoファイルが複数に分割できます。
ハイレゾ音源ファイルを分割(切出し)した実例
以前紹介した、1962年録音 トゥリオ・セラフィンが指揮したヴェルディのオペラ-TROVATOREのレコードの第2面をハイレゾ収録したFLAC(24bit 96khz)ファイルから、アズチェーナ(Ms:コッソット)が自分の母親が火刑に処された過去を回想し、その悲劇的な光景を描写しているアリア「炎は燃えて」(Stride la vampa)を分割(切出し)してみました。
分割(切出し)手順:カーソルを動かし、音と波形からアリア「炎は燃えて」の先頭部分を探し「分割」ボタンを押してセグメントを分割。 同じ様に「炎は燃えて」の終点部分を探して「分割」ボタンを押してセグメントを分割します。 「炎は燃えて」のセグメントを残し、他のセグメントを削除した後、「出力」ボタンを押して「炎は燃えて」のFLACファイルを分割(切出し)しました。
FLACファイルは、前述した様にLosslessCut アプリで問題無く分割され、サムネイル含めてメタデータも正しく引継がれています。 なお、下の音源は、分割(切出し)された「炎は燃えて」のFLACファイルを、過去記事で紹介したafconvertでAAC(48khz 160kbps)に変換しています。
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分割テストのため、iMovieを使用して、ビデオの3か所にタイトル(「テスト1」〜「テスト3」)を追加した動画を作成しました。
(• テスト1 のタイトルは 0秒後 に、• テスト2 のタイトルは 24秒後 に、• テスト3 のタイトルは 38秒後 に配置しています。)
LosslessCut アプリで、以下の2通りの方法で3つのタイトル先頭でセグメント分割し出力しました。
- 方法-1:キーフレームボタンを使って単純にタイトル先頭で「分割」ボタンを押してセグメントを分割した場合
- 方法-2:更に上の条件に加えて、分割(キーフレーム)ポイントを中心に0.5秒程度の余白(カット)を与えて分割した場合
ここでは、上の分割方法の違いで、セグメント2に対応するvideoの「テスト2」のタイトルが再生開始で先頭に表示されるか?を見ています。
方法-1:結果NG タイトルが先頭に表示されない
(10秒後にテスト2タイトルが表示される)
方法-2:結果OK タイトルが先頭に表示された
(再生開始でテスト2タイトルが表示される)