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MCカートリッジとMMカートリッジの違いを徹底比較|ハイレゾ録音で検証した音質の差とは

ハイレゾ音源配信サイト「e-onkyo」からダウンロード購入したハイレゾファイルを基準音源として、同一演奏・同一録音のレコードを MCカートリッジ と MMカートリッジ でハイレゾ録音し、音質の違いを比較しました。

使用したMCカートリッジは Ortofon MC20MMカートリッジは Shure V15 Type III。 どちらも往年の名機とされるモデルであり、再生方式の違いによる周波数特性や音の表情の差を客観的・主観的の両面から検証しています。

比較対象の録音ソースには、1966年録音・カラヤン指揮ベルリン・フィルによる《ラヴェル編曲:ムソルグスキー「展覧会の絵」より バーバ・ヤーガの小屋》を選びました。

ハイレゾ基準音源との比較も行い、MCカートリッジとMMカートリッジ、それぞれの特徴を比較しています。

 

MCカートリッジとMMカートリッジの違いと特徴

ご存知のように、レコードカートリッジの方式は、MC(ムービングコイル)タイプとMM(ムービングマグネット)タイプの2種類に分類されます。MCタイプは針先とカンチレバーで連結した可動コイル構造であり、MMタイプは針先とカンチレバーで連結した可動マグネット構造です。

レコード溝の凹凸に沿って針先がトレースすると、針先の振動によりMC型ではコイルが、MM型ではマグネットが変位し、その変位に応じて発電して出力されます。

一般的にMCカートリッジはコイルが変位するため、MMカートリッジのマグネットよりも質量が軽く、高域まで出力可能です。このため、MCカートリッジは音質的に優れているとされています。しかしながら、MCカートリッジは出力電圧がMMカートリッジの100分の2程度(-34dB)と微小になるため、ノイズに弱く、昇圧トランスまたはローノイズヘッドアンプの使用が必要となります。

ポイント

今回比較するカートリッジは、MMカートリッジ:Shure V15 Type IIIとMCカートリッジ:Ortofon MC20です。 夫々30年以上経過しており、経年劣化で本来の性能が低下していることは想像に難くないのですが、タイプの違いでどの程度の差が生じるものか?e-onkyoからダウンロード購入したハイレゾ音源をリファレンスとして音質比較を行ってみることにしました。

 

Type
1
MMカートリッジ:Shure V15 Type III・仕様概要

  • 周波数範囲:10Hz〜25kHz
  • 出力電圧 :3.5mV(1kHz、5cm/s)
  • 針圧   :0.75g〜1.25g

尚、Shure V15 Type IIIは、 日本精機宝石工業 シュアー「V-15TYPE3」用交換針(楕円針) VN35HE-楕円針(JICO)に交換して使用しています。

Type
2
MCカートリッジ:Ortofon MC20・仕様概要

  • 周波数範囲:5Hz-60kHz±1dB
  • 出力電圧 :0.07mV(1kHz、5cm/s)
  • 針圧   :1.5~2g(最適 1.7g)

 

比較に使用したLPレコードとリファレンス音源概要

LPレコード

使用するLPレコードは、グラモフォンレーベルより1966年にイエス・キリスト教会にて録音された、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「ラヴェル編曲・ムソルグスキー展覧会の絵」で、比較対象の楽曲は「バーバ・ヤーガの小屋」としました。盤質は既に50年ほど経過しており、良好とは言えません。

「バーバ・ヤーガの小屋」は、フォルテからピアノまでのダイナミックレンジと広範な音域を特徴とするオーケストレーションとなっており、カートリッジの比較に適していると考えられました。

本LPレコードを各カートリッジにて再生し、サンプリング周波数96kHz、ビット深度24bitのFLAC形式にてハイレゾ録音を実施します。 なお、本レコードは1966年録音のため、パブリックドメインに適用されるものと推定されます。

リファレンス音源

リファレンス音源として使用するハイレゾファイルは、e-onkyoから「バーバ・ヤーガの小屋」をダウンロード購入しました。

e-onkyoから購入したハイレゾファイルは、LPレコードと同一の録音ソースである1966年に録音されたマスターテープから、ハイレゾ用に96kHz、24bitでリマスタリングされているものと推測されます。 したがって、今回各カートリッジで収録した音源を評価するためのリファレンス音源として適しているものと判断しました。

注記: 「e-onkyo music」は、2024年10月16日の正午に20年近い歴史に幕を下ろし、「Qobuz(コバズ)」に統合されました。
同一音源の「展覧会の絵」を「Qobuz」で検索したところ、ハイレゾには対応しておらず、CDスペック(16bit 44.1khz)のDL購入のみの様でした。

 

MC・MM各カートリッジで録音したハイレゾ音源とエンベロープ波形比較

録音楽曲:「展覧会の絵」の「バーバ・ヤーガの小屋」

  (画面よりはみ出たら、横にスクロールできます。)

MMカートリッジ・録音
MCカートリッジ・録音

ハイレゾ音源(Flac:96khz,24bit)の
DLは、このボタンをクリック

Flac Down Load

ハイレゾ音源(Flac:96khz,24bit)の
DLは、このボタンをクリック

Flac Down Load

ハイレゾ音源からエンコードした
mp3(320kbps)を聞いてみる

  1. バーバ・ヤーガの小屋 by V15
  2. キエフの大門 by V15

ハイレゾ音源からエンコードした
mp3(320kbps)を聞いてみる

  1. バーバ・ヤーガの小屋 by MC20
  2. キエフの大門 by MC20

 

以下に、各ハイレゾ音源ファイルのエンベロープ波形を示します。

 

周波数スペクトルによる音質分析結果

❏ 周波数分析条件
Audacityにファイルを取込、周波数分析します。
関数窓:hanning 大きさ:65536ポイント
音源の周波数分析したスペクトルデータをテキストファイルで書出した後、Excelでグラフ化し解析します。
夫々の音源ファイルを最大レベルを−3dbになるように、正規化処理を行っています。
周波数分析の対象パート:「バーバ・ヤーガの小屋」の先頭から109.2秒間

 

e-onkyo vs MCカートリッジ(MC20)

1)スペクトルの重ね合わせ
上のグラフでは、全体像が掴みにくいので、1khz幅で音圧レベルを平均化し、更に、リファレンスであるe-onkyoハイレゾとの誤差率を求めてみたのが、下のグラフです。

2)1khz幅で平均化したスペクトルとe-onkyoハイレゾとの誤差率
レファレンスのe-onkyoハイレゾに対して 、全体的に若干音圧レベルがー1%程シフトしています。 これを加味すると、20khzにわたり誤差は±2%に収まっています。

 

e-onkyo vs MMカートリッジ(V15)

1)スペクトルの重ね合わせ

2)1khz幅で平均化したスペクトルとe-onkyoハイレゾとの誤差率
17khz付近から、誤差が増大している。 これは、MMカートリッジの高域特性が低下しているためと思われます。 15khz迄は、±1%の誤差に収まって、特性が近似している様です。

 

e-onkyoとの誤差率:音質順位

MCカートリッジ(MC20) > MMカートリッジ(V15)

 

各音源の試聴による音の印象と評価

夫々のファイルをHAP-Z1ESに取込み、我が家のB級オーディオで試聴しました。

  1. e-onkyoハイレゾ音源:
    低域もしっかりして、音像も定位しており流石にマスターテープからの音源と思われます。
  2. MCカートリッジのハイレコ音源:
    e-onkyoに比較して定位感と低域に物足りなさを感じますが、殆ど遜色ない音質でした。
  3. MMカートリッジのハイレコ音源:
    全体的に線が細い感じの音質でしたが、弦の音は素直に感じられました。

試聴音質・評価順位:

e-onkyoのハイレゾ音源 ≒ MCカートリッジ(MC20) > MMカートリッジ(V15)

 

まとめ:MCとMMの音質の差

周波数分析と聴感結果とも、カートリッジとしては、予想通りMCカートリッジ Ortofon MC20 に軍配が上がる結果でした。

しかし、MMカートリッジ Shure V15 Type III で弦の音は、魅力的であり、周波数分析で17khz付近から音圧レベルが低下するとしても、CDフォーマットのエイリアシングフィルターのハイカット周波数が20khzであることから、それ程、致命的とは言えないと思いました。

それにしても、50年前のレコードと30年以上前のカートリッジを使用しても、e-onkyoのハイレゾ音質に匹敵する音質が得られたことに、改めて驚きを感じた次第です。

【 備考 】
今回の実験ではMCタイプ(MC20)に軍配が上がりましたが、カートリッジタイプ全般に対して実験(評価)したものでなく、今回の実験結果をもって、MCタイプの方が音質が良いと言うことにはならないことを念の為、申し添えます。 今回の実験手段(方法)がカートリッジの音質評価手段の参考になれば幸いです。

 

以上、e-onkyoのハイレゾ音源を基準にして、MCカートリッジ(MC20) と MMカートリッジ(V15) の音質評価でした。

 

MCカートリッジとMMカートリッジ:関連記事

Ortofon MC20、Shure V15 Type III

 

DENON MCカートリッジ DL103R

 

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