広告 ピュア音源による音質評価 ロスレス圧縮(FLAC・ALAC)

ピュア音源でALACフォーマットを評価してみました。

スポンサーリンク

 

前回のブログでは、可逆圧縮のFLACフォーマットの評価を行いました。 今回はアップル推薦のALAC(Apple Lossless Audio Codec)についても前回と同様に純音源(ノコギリ波)を用いて評価し、FLACと比較して、どちらのフォーマットがより優れたパフォーマンスを発揮するか検証します。 

 

前回ブログ(FLACフォーマット)は以下を参照してください。

参照
ピュア音源で検証!FLACはWAVと同じ音質なのか?

LPレコードをハイレゾ録音する際、無圧縮のWAVではなく、可逆圧縮のFLACフォーマットで保存するケースは多いと思います。 私自身もファイルサイズを削減するため、VinylStudioで録音するときは ...

 

スポンサーリンク

 

 

ALACフォーマットの特徴について

ウィキペディアによれば、

Apple ロスレス[1](アップルロスレス、英語:Apple Lossless Audio Codec、略称:ALAC)はアップルの可逆圧縮方式のオーディオコーデック。iTunes等で使用されている。

非圧縮ファイル(WAVやAIFF)を音質の劣化なく70%から50%程圧縮する。通常はQuickTimeのMOVファイル(.mov)かMP4ファイル(.m4a)に格納される。

一般的な音声コーディック

非圧縮 可逆圧縮
アップル系 AIFF ALAC
Windows系 WAV WMA 
FLAC

 

テストに用いた音源(ノコギリ波による検証)

  1. 以前ブログ記事で紹介した、WaveGenというソフトで、1khzのノコギリ波をハイレゾのWAVEフォーマット(192khz 24bit)で保存します。
  2. WaveGenの出力設定は、1khzノコギリ波、-3dbで5秒間 WAVEファイルに出力
  3. VinylStudioでWAVEをインポートした後、以下の様に圧縮率を設定しALACフォーマットにエンコードします。
  4. 夫々のファイルをAudacityに取り込み周波数分析し、音質劣化程度を観察します。

VinylStudioのALAC・圧縮率オプションの設定画面(圧縮率レベルは、0から4で5段階から選択できます。 defaultは2になります。)

 

WAVと可逆圧縮の音源ファイル諸元と波形

項 目 WAV
ファイル



可逆圧縮(ロスレス圧縮)コーディック
 ALAC-2 ALAC-0  FLAC-5 FLAC-0
ファイル拡張子 .wav .m4a
.flac
圧縮Level ーー Level2:
default
Level0:
max file size
Level5:
default
Level0:
max file size
サイズ (24bit 192khz) 5.49 MiB  3.36 MiB  4.71 MiB 2.30 MiB 4.59 MiB
圧縮率 100%  61.2%  85.8% 41.9% 83.6%
ビットレート モード CBR モード  VBR モード  VBR モード VBR モード VBR モード

 

WAV波形】【ALAC波形タグを交互に切り替えると波形の違いを確認できます。 (Audacityで表示した波形)

WAVEファイル:オリジナルファイル :24bit 192khz

WAVEファイルの
DLは、このボタンをクリック

ALAC-2ファイル:WAVEファイルからALACにエンコード:24bit 192khz

ALACファイルの
DLは、このボタンをクリック

ポイント

以上は、Audacityに夫々のファイルを取込み、波形を確認したものです。 ALACは、可逆圧縮の通り、リンギング部分も含めてオリジナルのWAVE波形とほぼ同じに復元されていることが判ります。

 

ALACは本当に可逆圧縮なのか?2種類の方法で検証

下に示す2つの方法でALACが「可逆圧縮」か否かをチェックしました。

chk
1
波形の差分で確認する方法

ALACファイル(ALAC-2)をデコードすると、元のWAVEに復元するかを調べるために、ALACファイルの波形を上下反転(逆相)して、その波形とWAVE波形とを加算したときゼロになれば両者の波形は同じと言えるので、Audacityを使って調べてみました。 つまり波形の差分で確認する手順を以下に示します。(2019/1/9追記)

手順-1

WAVEファイルとALACファイルをAudacityに取込み、取り込んだALACに対して、エフェクトで上下反転(逆相)を行います。 青枠を参照してください。

手順-2

上のWAVEトラックと反転したALACトラックをMIXして新しいトラックを作成したのが下の画像です。 縦軸を最大感度(0.0005vつまり上の縦軸に対して-66db)にした状態で、Lch、Rchともフラット(無音)になっています。

ポイント

WAVEとALAC波形が完全に一致しているから、上のLch Rchのレベルがゼロ(無音)になったということです。 つまりALACが元のWAVEに復元できているので、可逆圧縮と言えます。

 

chk
2
ファイルのハッシュ値で確認する方法

元のwavファイルをALACに変換したファイルをwevに戻した時、元のwavファイルに正しく復元されているか(ファイルの同一性)をハッシュ値で確認できます。 夫々のwavファイルのハッシュ値を比較すると完全に一致し、ALACは「可逆圧縮」であることが確認できます。 詳しくは下の記事を参照ください。 

参 照FLACとALACが元のWAVファイルに復元されるか?ハッシュ値で調べてみました。

過去の記事では、FLACやALACフォーマットをAudacity上で元のWAVファイルとの絶対誤差から復元(可逆性)を確認しました。 FLACやALACの可逆性を確認する方法の一つに「ファイルのハッシ ...

ハッシュ値とは、あるデータ(例えばファイルなど)に対して計算される固定長の文字列や数字のことです。 この値は、元のデータの内容に基づいて計算され、データが変更されていないか、あるいは一致するかどうかを確認するために使用されます。

 

ALACファイルの周波数分析

WAVE、ALACファイルをAudacityに取込み、夫々を周波数分析しグラフ化しました。 更に、その差分(誤差)も併せてグラフ化しました。

スペクトル分析条件:関数hanning window、size16384

測定期間:1sec〜4secの3秒間 ALACの圧縮率レベルは”2”(ALAC-2)

ポイント

スペクトルの差分(劣化)が生じる箇所は、非常にレベルの低いノイズフロアレベル(-120db)で僅かながら誤差が生じています。 この誤差は、Audacityのスペクトル精度上に生じている可能性が高いように思われます。

 

まとめ:ALACはWAVと音質的に同一か?実験から見えた結論

  • オリジナルのWAVEとALACのノコギリ波の波形は、ほぼ一致しています。
  • ALAC波形の上下反転した波形とWAVE波形をミックスすると、無音になることから、ALACは、WAVEに復元され、可逆圧縮と言えると思います。
  • スペクトルの差分(劣化)について、この実験は、Audacityのスペクトル分析から間接的に誤差を求めていますので、このために僅かながら誤差が生じているものと思われます。

注意ポイント

結論
ALACファイルは、可逆圧縮であることが検証できたので、音質劣化は生じないと思われます。 また、ファイルの圧縮率は、デフォルト(ALAC-2)で、61.2%でした。 対してFLAC-5(デフォルト)で圧縮率が41.9%でしたから、パフォーマンスは、FLACの方が良いことが判りました。 今まで通り圧縮率レベルは”5”(FLAC-5)でLPレコードのハイレゾ化を進めて行こうと思います。

 

以上、ピュア音源でALACフォーマットを評価しました。

ビットレート変動の可視化

参 照FLACとALACの違いを比較|ビットレート変動の可視化と可逆性の検証

前回の記事では、不可逆圧縮フォーマットである AAC や MP3 のビットレート変動について解説しました。  今回はそれに続き、可逆圧縮方式である FLAC(Free Lossless Audio C ...

ロスレス圧縮のカテゴリはこちら

 

スポンサーリンク

 

スポンサーリンク