CD音質を凌ぐ?「ハイレゾ音源のAAC変換」を行うために(その1:XLDアプリの場合)

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AAC (Advanced Audio Coding)音質はビットレートを最高品質の320kbpsでAAC変換しても漠然とCD音質には及ばないと思っていました。 ところが、ピュアー音源を使ったAACの定性的なテストで、サウンドアプリによっては、ハイレゾフォーマット(24bit)からAAC変換し歪率(THD+N)を測定しますと、CD音質の歪率より特に弱音部分で桁違いに良好な結果が得られることが判ってきました。 

この事は、AACのエンコード条件によってはCD音質を超えるAAC音質が得られるのではないか? エンコード条件が判れば、貴重なレコードから録音したハイレゾ音源を、出来るだけ高音質に、出来ればCDを超えるAAC音質でiPhoneなどで聴くことが出来る様になるのではないかと思い始めてきました。

そこで、先ず第一候補としてMac OS X用のCDリッピング定番アプリ・XLDX Lossless Decode[バージョン20191004 (152.0)]を使った、CD音質を超えるための条件(ビットレートなど)を探ってみました。

今回はXLDアプリでしたが、今後他のAAC変換出来る代表的サウンドアプリについても調べて行く予定です。

 

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目指すAAC音質について(定義)

CDフォーマットは、ビット深度が16bitでサンプリング周波数(fs)が44.1khzです。

ビット深度が16bitの場合、以前の記事で紹介しました「CDフォーマットのここがダメ」で紹介しています歪率(THD+N)で表すことができます。 また、サンプリング周波数(fs)が44.1khzですのでサンプリング定理から、再現できる上限の周波数は、サンプリング周波数44.1Khzの1/2の22.05Khzで表すことができます。 よって、「ハイレゾ音源からAAC変換」における、目指すAAC音質は、歪率とF特の2つの要素で定義しました。

目指すAAC音質の定義

  1. 目指す歪率:CDの歪率(THD+N)(青ライン)を下回ること

  2. 目指すF特:CDの周波数特性(F特)は、理論的にfs/2=22.05khzまでフラットなF特と考えられるが、判りやすくするため、20khzまでフラットな周波数特性となること

 

ビットレートを変えた時のAAC 歪率(THD+N)特性を調べる

ハイレゾ(24bit)音源からAACに変換した時のAAC歪率は、量子化ノイズの関係からAACエンコーダのビット深度が24bitに対応しているか否かで良否が決まります。 AACエンコーダのビット深度を調べてみました。」の過去記事から、XLDのAACエンコーダはビット深度24bitを維持してAAC変換できることが判っています。

XLD・AACエンコーダのビットレート設定は、環境設定から以下の様に設定します。 

出力フォーマットをMPEG−4 AACにして、オプションを以下に設定

モード:CBR(固定ビットレート)

目標ビットレート:320Kbps、256Kbps、190Kbpsの3通りで夫々の歪率がどうなるか?を測定しました。

 

+ 歪率の測定方法 > ここをクリック


  • step.1 1khz sin波の生成

    WindowsソフトのWaveGeneを使って以下の様に1khzで信号レベル「-☓☓dbFS」を設定しビット深度24bit fs=44.1khz wavファイルを出力します。 (注記:下の設定画像は16bitになっていますが、24bitで設定します。

    WaveGeneの設定画面( 1khz sin -90dbFSを設定している)


  • step.2 AAC変換

    Step.1 で作成した正弦波 1khz WavファイルをサウンドアプリでAACファイルに変換します。 


  • step.3 歪率の測定

    歪率を測定するために、WindowsソフトのWaveGeneの姉妹ソフトであるWaveSpectra(WS)を使用させて頂きました。

    WSは、対応フォーマットがWavのみにため、Step.2 で作成したAACファイルをWavファイルに変換させる必要があります。 今回は、Apple Degital Mastersのドロップレットツールを使ってWavに変換しました。

    測定手順ポイント

    測定手順は非常に簡単で、AACからWavに変換したファイルをWaveSpectraにドラッグ&ドロップします。 再生ボタンを押して約2秒程(-☓☓dbFSファイルの長さは5秒なので半分位経過して安定する点)のところで、pauseボタンを押しTHD+Nの値を読み取ります。 

    歪率測定窓にTHD(上段)とTHD+N(下段)が表示されます。 THD+Nとは、total harmonic distortion + Noiseの略で、全高調波歪にノイズを加えた基本波成分の比(%)です。

    (FFT条件)サイズは32768でHanning窓です。 


歪率の測定方法を閉じる

 

目標ビットレートを変えた時の歪率(THD+N)特性(結果)

判ったポイント

  • どのビットレートであっても、-45db付近以下から、ハイレゾ(24bit)ラインの歪率と一致する。 (つまりCDと比較して弱音ほど歪率が桁違いに有利になる)
  • ビットレートが高い方が、歪率(THD+N)は良好になる。
  • ビットレート320kbpsは、全てのサウンドレベルでCD(16bit)の歪率を下回る。
  • ビットレート256kbpsは、-3dbよりCD(16bit)の歪率を下回る。 通常レコードから録音した時は-3dbにノーマライズしているので、実際上はCD(16bit)の歪率を下回ると言って良いと考えます。
  • ビットレート192kbpsは、-10dbよりCD(16bit)の歪率を下回るのでNG
  • 総合して、ビットレートを320kbps又は256kbpsにすればCD歪率以下に下げられることが判りました。

 

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ハイレゾ(24bit)をXLDでAAC変換したときの F特を調べる

+ F特の測定方法 > ここをクリック


  • step.1

    • F特を調べるために、評価用音源をWindowsの信号発生ソフト・WaveGeneで発生させます。
    • 評価用音源の仕様: (設定は下の画面参照)
      17khzを起点にして0.5khz刻みで20.5khzまでのピークレベルが均一(-20db)なsin8波を5秒間発生さます。
    • 評価用音源は、必要に応じてfs変えて 24bit Wavファイルを作成(下の設定画面は、fsを192khzに設定)

    WaveGeneの設定画面


  • step.2

    • 評価用音源をサウンドアプリでAACに変換します。

  • step.3

    AACに変換した後の評価用音源・sin 8波の波高値を測定測定するために、Windowsの高速リアルタイム スペクトラムアナライザー WaveSpectra(以下WS)ソフトを使いますので、XLDでAACに変換された上記3つの評価用音源m4aファイルをWavフォーマットに変換する必要があります。

    Wavファイルに変換するには、Apple Degital Mastersのドロップレットツールを使って変換しました。 AACのサンプルレートが48khzの場合はAudio to WAVE 48K Droplet.app44.1hzの場合は Audio to WAVE 44.1K Droplet.appにドロップにしますと自動的に同じフォルダーにWavファイルが出力されます。 詳しい変換方法は、「Apple Digital MastersのAAC音質(その1)」をご参照ください。


  • step.4

    最後に、サウンドアプリでAACに変換した時のF特グラフを作成します。

    F特グラフ化 作成ポイント

    WSでピークレベルを測定しグラフ化する手順

    1. Step.3で、AACファイル(m4a)からWavに変換したファイルをWSのWindowにドロップし再生ボタンを押すとスペクトルが描画されます。
    2. ストップボタンを押して再生を途中で停止させると、静止したスペクトルが描画されます。
    3. スペクトルのピーク部分(8箇所)にポインターのカーソルを合わせるとWS画面左のCursor枠に周波数とレベル値(db)が表示されるので、その値を読み取り-20dbからの減衰量を求めエクセル等でF特のグラフを作成します。


F特の測定方法を閉じる

XLDのF特上の問題点

前回記事(以下のブログカードを参照)でXLDアプリの場合、AACに変換するとき、ダウンサンプリング率が大きい程、AAC変換した時のF特が悪化するというF特上の問題があることが判りました。 

例えば、fs=192khzのハイレゾ音源をAAC変換(CBR 320kbps)するとAACファイルのfs=48khzにダウンサンプリングされその時のダウンサンプリング率は1/4になります。 下のグラフの橙色ラインから判りますように20khzで-3dbにレベルがダウンしてしまいます。 F特をフラットにするには、ハイレゾ音源のfsを44.1khz(又は48khz)にダウンサンプリングした後にAAC変換すれば、青のラインで示される様にフラットなF特が得られます。

ポイント

以上から、CDと同等のF特を得るためには、fsの高いハイレゾ音源を一旦48khz(又は44.1khz)にダウンサンプリング変換した後、XLDでAAC変換する必要があります。

fs=44.1khzにダウンサンプリングした後、ビットレートを変えてAAC変換した時のF特を確認

ポイント

F特グラフから、CBRでビットレートが192kbpsの場合は、19.4khz付近から減衰してしまいます。 よって、CD音質のF特と同等の性能を得るためには、ビットレートを256kbps以上にしてAAC変換する必要があります。

 

マトメ:XLDアプリでハイレゾ音源をCDを超えるAAC音質を得るために

手順とAAC設定条件

  1. fsが96khz以上のハイレゾ音源の場合、AAC変換する前にビット深度を24bitに維持したまま、fs=48khz(又は44.1khz)にダウンサンプリングする(事前準備)
  2. CBRモードでビットレートを256kbps以上に設定しAAC変換を実行する

 

では以上の条件で、AAC変換したリアルサウンド♫を聴いてみてください

この音源は、1965年に録音された「Ivan Moravecが弾くショパン・ノクターン13番 ハ短調 op.48-1とノクターン14番嬰ヘ短調 op.48-2」のレコードからVinylstudioでハイレゾ録音(24bit 192khz)したものを、CD音質を超える(と思われる)条件でAAC変換したものです。 比較のために、XLDでCDフォーマットにダウングレード(16bit 44.1khz)した音源も合わせて掲載しておきました。

AAC 44.1khz 320kbps

レコードからハイレゾ録音(24bit 192khz)したものを、XLDでCDフォーマットにダウングレード(16bit 44.1khz)した音源です。

Ivan Moravec - ノクターンOP.48_1

 

リアルサウンドで聴いた時、CD音質を超えているか?実際上は聴き分けられないかも知れません。 しかし、オーディオ的にはレコードからハイレゾ録音した音質を出来るだけ維持して、CD音質を超えるAAC音質に変換することは意味のあることではないかと思います。 今回はXLDアプリの場合でした。 ご参考にしていただければ幸いです。

 

 

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