広告 オーディオ一般 テストレコード関連

DENON MCカートリッジ DL103Rのクロストーク「 改善編」

スポンサーリンク

 

前回ブログ(原理編)に引き続き「我が家のB級プレーヤ」に取付けられているDENONカートリッジ・DL103Rのクローストーク改善編をお送りします。 原理編で述べたように、写真のテストレコード(AD-1)により、クロストークを計測すると、右チャンネルへのクロストークが、DL103Rの本来スペック(1khzで25db以上)から悪化(-20db)しており、この原因がレコード面とカートリッジが垂直でなく、アジマス調整が不適切と推定されました。 アジマス調整方法としてヘッドシェルとカートリッジの間にスペーサーを挟みアジマス調整を行ったところ、クローストークの改善がみられましたので、その顛末を記します。

 

スポンサーリンク

 

 

アジマス調整について

blankターンテーブルに鏡を置いて、現状のカートリッジの傾き具合を見ますと、写真の様にカートリッジ全体が右に傾いていて、レコードV溝と針先も図の様に、右に傾いていると考えられます。 これは、正位置に比べ垂直振動成分が増加することで、Rchへのクロストーク量が多くなるものと思われます。(「原理編」参照)

そこで、図の様にヘッドシェルとカートリッジの間にスペーサーを挟みアジマス調整を行いました。 スペーサは取敢えず、M4用の平ワッシャー(厚み0.8mm)を使用しました。 カートリッジの傾きは、写真の様に、若干今度は右に傾いていますが、以前より垂直度が改善しているので、この状態で、クロストークの測定を行うことにしました。 尚、ワッシャーはカートリッジの磁路に影響しない非鉄金属を使用することをお勧めします。

1khzでのクロストーク確認

テストレコードAD-1を使って、アジマス調整後のクロストークを計測しました。

右チャンネルクロストーク計測・結果
テストレコードAD-1(2面のバンド4:基準レベル、1kHz、3.54cm/sec(尖頭値)、左チャネル)をステレオ再生し、192khz 24bitのハイレゾで録音します。

ハイレゾファイルをAudacityに取り込み、スペクトル分析しました。 左のグラフがアジマス調整後で、クロストークは-30.77dbになっています。 右のグラフが、アジマス調整前で、-21.7dbです。
アジマス調整したことで、約10db(3.16倍)もクロストークが改善されました。

 

左チャンネルクロストーク計測・結果
左チャンネルも同じ様に、テストレコードAD-1(2面のバンド5:基準レベル、1kHz、3.54cm/sec(尖頭値)、右チャネル)をステレオ再生し、192khz 24bitのハイレゾで録音します。

左のグラフがアジマス調整後で、クロストークは-29.55dbになっています。 右のグラフが、アジマス調整前で、-30.42dbです。
アジマス調整後の方が僅かにクロストークが1dbほど増加しましたが、誤差範囲と捉えられるレベルと思います。 アジマス調整したことで、左右のクロストーク差も殆どなくなったことが特筆できます。

 

スイープ信号によるクロストーク周波数特性について

周波数に対するクロストーク特性を確認しました。
これも、テストレコードAD-1の1面にある、「バンド1:周波数スロースイープ信号、20Hz – 20kH、左チャネル」と「バンド2:周波数スロースイープ信号、20Hz – 20kH、右チャネル」を使います。 このバンドをステレオ再生し、192khz 24bitのハイレゾで録音します。

ただし、このバンドは、RIAAで録音されておらず、本来は、ストレートアンプで再生する必要があります。 このため、ハイレゾ録音後、逆RIAAフィルターを使う必要があります。

VinylStudioで逆RIAAフィルターとランブルフィルターOFFでハイレゾファイルを出力し、このハイレゾファイルをハイレゾファイルをAudacityに取り込み、スペクトル分析結果をテキスト出力して、Excelで左右チャンネルを引き算しクロストーク 周波数特性をグラフ化しました。

 

スイープ信号によるクロストーク周波数特性 結果

アジマス調整 後のクロストーク特性>

アジマス調整 前のクロストーク特性>

以上のグラフからアジマス調整を行うことで、周波数に対するクロストーク特性も良化していることが確認できました。

 

実際の楽曲での聴き比べ(試聴結果)

以前のブログ記事で紹介した、セビリアの理髪師 序曲をアジマス調整 前後でのMP3(320kbps)サンプル音源を聴いてみてください。

この序曲は、1964年録音 シルヴィオ・ヴァルヴィーゾ揮者 ナポリ・ロッシーニ管弦楽団の演奏によるロッシーニ「セビリアの理髪師」の3枚組LPレコードをハイレゾ化し、MP3(320kbps 48khz)に変換したものです。

「我が家のB級オーディオ」のHAP-Z1ESに取り込み再生比較したところ、明瞭な差は感じられないものの、アジマス調整 後のサウンドは、シンバルの音像がハッキリし、全体的な定位感が増した気がします。

 

以上、クロストークの改善編でした。

 

 

 

スポンサーリンク

 

スポンサーリンク

 

t