クリュイタンス(指揮)と共演した『オイストラフが弾くベートーベン・ヴァイオリン協奏曲』のレコードは1958年(66年前)に録音され、名盤と称されるアルバムです。
レコード内周で音質が悪くなるところがありますが、オイストラフ(50歳)の弾くバイオリンが素晴らしく、一方の雄のヘンリク・シェリングが弾くバイオリンコンチェルトと聴き比べてみても、オイストラフの演奏は流麗でメリハリのある名演と思います。
ベートーベン・ヴァイオリン協奏曲とクレジット
ベートーベンのヴァイオリン協奏曲は、1曲しか作曲していません。 ベートーベンとしてはこれ以上のものは作曲できないという逸話が残っている曲でもあります。 3大ヴァイオリン協奏曲の中でも特異でその完成度は高いと思います。
ウィキペディアによりますと、『初演は、1806年12月23日 アン・デア・ウィーン劇場にて、フランツ・クレメントの独奏により演奏された。この時までベートーヴェンの作曲は完成しておらず、クレメントはほぼ初見でこの難曲を見事に演奏して、聴衆の大喝采を浴びた。』そうです。
Discogs(ディスコグス)調べ
Conductor – André Cluytens
Orchestra – Orchestre National De La Radiodiffusion Française*
Sleeve Notes – William Mann
Violin – David Oistrakh
note
Blue Labels. Recorded in Europe. Manufactured in U.S.A.
レーベル:Angel Records – S. 35780
フォーマット:Vinyl, LP, Album, Stereo
発売:USA、1959年
♫ では、ハイレゾ化したサンプル音源を聴いてみてください
AAC 160kbps 48khz
1楽章、3楽章のカデンツァはクライスラー版が使用されています。
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61 第2楽章:ラルゲット
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レコードの内周内周歪のこと
イヤホーンでこのレコードを聴きますと、内周(1楽章の後半、3楽章の後半)に行くに従って音質が悪化しているのが気になります。(我が家のB級ステレオではそれ程気になりません) これが所謂内周歪と思われます。 このレコードの録音年が1958年で、丁度ステレオLPレコード(45-45方式)が出現したタイミングとほぼ合致します。 未だカッティング技術も確立されおらず、このために内周歪に対する配慮が薄かったのかも知れません。 そこで、フォルテ部分のスペクトルを調べてみました。
ステレオレコードの初期段階ということもあり、ご覧の通り全体的にレベルが低く帯域の狭い録音でした。
ところで、先日(2020/1/30)『偉人たちの健康診断「発明王エジソン 驚異のひらめきと集中力の謎」』という番組をNHKBSで放送していました。
この中でエジソンが1番拘ったのが内周歪みだったそうで、発明したレコードは円筒状で線速度が一定になるので内周歪の生じないというものでした。 しかし、筒状タイプは複製に難があり、一方の円盤タイプは簡単にプレスが出来てしまうので主流になったということでした。 円盤レコードはエジソンも指摘したように内周歪は物理的に避けられず、やはり、内周歪についてはCDに軍配が上がります。
以上、『オイストラフが弾くベートーベン・ヴァイオリン協奏曲』でした。